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◆幻想水滸伝(パーシヴァル中心に全シリーズ)をメインとした趣味の二次創作・固定ヒロイン夢小説を扱ったブログです◆各版権元製作企業・関連会社とは一切関係ございませんが著作権は筆者さやなにあります◆
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さやな

Author:さやな
寒いと生きていけないと言いつつ
我が家は恐ろしく寒い
ということは実は寒さに強いのかもしれません

モノ書きするくせに筆不精な自分が歯がゆい今日この頃

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幻想水滸伝3 パークリ 【 月は見ていた 】

お久しぶりです。
お久しぶりの更新は【 とおりゃんせ 】の続きです。今頃出すなってw
クリスは出てきませんのであしからず<(_ _)>





 ――人生をやり直せるとしたら。お前だったらいつに戻りたいと思う?

















それは猛毒
 一度罹ったらどんな薬も叶わない
 死を迎える其の時まで
 きっとわたしは
 貴方から目を離せない
 溺れて溺れて水の底果てまで
 その果てはいったいどこに在るのだろうか?
 




 
【 月は見ていた 】






 月は見ていた。背徳的な我らの逢瀬を。淋しくやさしいその眼差しを変えることなく佇むその姿に惹かれる。まるで貴方のようだと言うと、お前のようだよと言い返された。苦しくなった。
 これから俺がしようとしている選択を彼女はどう思うだろう?
 


 バーツが作った野菜が美味しいこと。
 ボルスが貴族出身のクセに口が悪いこと。
 レオ殿が顔に似合わず甘いものが大好きなこと。
 ……どれももはや俺には当たり前で普遍的なことに思えてしまう。
 そんな日常が俺は大好きだと思う。けれど、これだけはあまり見たくない。
 クリス様の眉間に皴が寄ること。
 イクセでの彼女の解放的な笑顔を忘れることは出来ない。思うんだ。彼女はビネ・デル・ゼクセの自宅にいるときですら難しい顔をしているのではないかと。乙女の鋼は折れやすい。あんな醜態を晒した俺といる時でさえ、あの人は女神であることを忘れない。そんな彼女に歯がゆさを覚える。それは、ただ単に俺のエゴか?
 それでも、俺は彼女のほぐれた笑みが見たいと思う。
 女神はそれを許してくれるだろうか?
 夜更けに湖畔へ向かう日々。約束でもしていたかと錯覚してしまうほど毎晩のように彼女はそこに居た。何をするわけでもなく寄り添い月の浮かぶ水面に想いを乗せる。時々、二言三言たわいない言葉を交わす程度。
 これが俺の最近の日課。そして一番お気に入りのひと時だ。
 銀色の髪の毛と菫色の瞳が夜に解けて一層美しく揺れる。俺は、おそらく彼女と一緒にいるこの時間中8割くらいは彼女を見つめているのではないだろうか?
 ……そんな彼女を見ていると、やっぱり俺には手の届かないお方だという思いが拭えない。あの時のあれはきっと…恋愛感情とかそんなじゃない。もっと真理的なもの。ただの母性本能に過ぎないのではないか?
 そもそも、彼女は“困る”と言っただけで“好きだから”とまでは言っていない。“上司としては”という前置きのが納得がいく。
 どこまでも聖女の仮面を貫き通すクリス様。本当の聖女が聞いたら呆れるだろう。だって俺の知っている彼女は屈強な腕を与えられた代わりにどこまでも脆くて弱いガラスのようなひと。正直言うと母性なんてものは彼女にはとても縁のある言葉とは思えない。



「よう!色男!」
「おはよう!」
 ブラス城内を歩いていると色んな人に声をかけられる。煩いと言わんばかりにボルスは隣で不機嫌そうな顔をしているが、もはやそれも朝の恒例。
 気が付けば随分顔馴染みが増えたもんだ。カラヤにリザードにダックに…近隣諸国から遣って来た者も随分居たか。皆いつもに戻れば敵方、それでもここでは仲間。それも俺は悪くないと思う。時間の余裕のある時にヒューゴと早駆けしたり、酒場でグラスランドの連中と飲み比べしたり。ブラス城にいる時と変わらぬ過ごし方で、ただ違うのは周りにいる人々。そんなことをしている内に気が付いたら馴染みの顔が多くなった。おかげでゼクセンでつるんでた連中には付き合いが悪くなったなどと言われているようだが構いやしない。そんなことを言いながら奴らは相変わらずグラスランドの連中を仲間と言いつつ軽蔑する。そう簡単にはいかない、か。と思いつつ、今まで自分はそんな奴らとつるんでいたのかと思うと心底辟易する。
 その点、ボルスはやっぱり単純だな。不平も散々言っているが、それ以上に敬意も感じる、と言う。文化が違いすぎてすぐには理解できなかったんだ、とは奴の負け惜しみ。年中リザードの戦士と言い争いしているが、それはそれで本人たちは楽しいようでわざわざ自分からぶつかりに行く。
 逆にレオ殿はリザードたちと気が合うんだよな。なんとなく分かる気はするが…。
 城内を一回り、朝の巡回をする。ミーティングの後、これが俺とボルスの一日の始めの仕事だ。なぜ、6騎士でもある俺たちがそんな仕事を請け負っているのか。それは未だゼクセンとグラスランドの溝が埋まりきらないからだ。当初、巡回はビュッデヒュッケ城の連中が行っていた。傷口に毒を塗らぬようにと中立の立場を取る彼らに一任したのだ。しかし何処にも血の気の多い奴はいるもので、すぐに彼らはお手上げ状態に陥ってしまった。それ以来、警備は主に慣れた我々が担っている。グラスランドの人々は敬意を持って接すればすぐに心を開いてくれた。問題なのはゼクセン側の人間で、頭でっかちな奴等を捻じ伏せるには騎士団幹部が動くしか手がなかったのだ。
 そうして会話を交わしているうちにあっという間に顔馴染みが増えた。



「よぉ、色男!」
 随分下のほうからさわやかな声で話しかけられる。……ホント、色男は勘弁願いたい。
「……ジョー軍曹。貴方まで」
「ん?駄目か?」
「その呼び方はちょっと……」
「あぁ、そうか。見た目だけ色男、に変えるか」
 この人、確実にわざと言っているな。
「それはもっと勘弁願いたい」
 そう切実に返すと、彼は豪快に笑い声を立てた。
「……どうだい、変わりはないか?」
「えぇ」
「平和を望む気持ちはみんな一緒ってことだよな」
 そう、みんな同じだよな…。変わらないこと。変わらない日々。それが崩れて初めて気づいた。どんなに大切だったかってことに。
「どうかしたか?」
「いえ、最近色々考えるんですよ。これからのこととか」
「……そうだなぁ。こういうことがあると特に。俺もだ」
 そう言うとジョー軍曹は俺の背中をぽんと叩いて去っていった。
 皆色々考えてるんだよな……。俺もいつまでも考えあぐんでいてはいけない。もうすぐこの戦いも決着が付く。そうしたら……。



「俺はこの戦いが終わったら……騎士団を去ります……」
 彼女が現れなかった夜、予行練習代わりに月にささやく。
 夜空に浮かぶいつものように淋しく優しく佇む月が、やはりクリス様と重なる。
 貴方も、この月のようにいつもと変わらぬ微笑でイエスと言ってくださるだろうか?
 俺はあの人を守りたい。あの人の心を守りたい。そのために俺が出来ること……。
 俺の剣が必要な時はいつだって貴方の元に駆けつけよう。だが、そのまえに。俺には為すべき事がある。
 貴方の心を脅かすモノから守る盾になりたい。
 一番大切なことは何か?
 平民からここまで昇り上げたのには確かな目的があった。大切なものを守りたい、この手で。けれど……。
 決して守る方法は剣だけではない、そうこの戦いが教えてくれた。
 時は待ってくれない。
 為すべきことを違えるな。
 あの人が遠くへ行ってしまうその前に、そうならなくて済むように。
 何か言いたげに瞬く間に薄い雲が月を隠していった。微かに透けて届く光がさらに憂いを誘った。
 いよいよ決戦は目の前に迫っている。






 同室のボルスは珍しくまだ起きていた。起こさないようにそっとドアを開けた俺が逆に驚いた。
「珍しいな。お前がこんな時間まで起きているなんて」
 準備で駆け回っていて今日も大分疲れ果てているだろうに。
「……ちょっと眠れなくてな。お前、いっつもこんな時間まで起きてるのか」
 呆れ口調のボルスの声色は覇気がなく、眠れないと言った事が気にかかった。酒を飲んでいたわけでもなさそうだ。ワインが趣味な癖にそれほど酒に強くない。飲んでいたのかどうかは顔を見ればすぐにわかる。
「お前さ……」
 言いかけて口を噤む。全く奴らしくない。
「何があったのか知らんがお前がそんな顔しているのは気持ちが悪い」
 実直に感想を言うとボルスはむきになって食って掛かろうとする。微笑ましく眺めていたら次第に笑いが込み上げてきた。一瞬きっと此方を睨み付けるがすぐに眉を下げてポツリと呟いた。こっちも見ずに罰の悪そうに。
「……悪かったよ」
 そうしてまた何かを言おうとして黙り込むのだ。
 聞いてほしいのか聞いてほしくないのか判断に困り果てた俺は気にした素振りは隠してそそくさと就寝の準備をしていた。奴のことだ、聞いてほしければそのうちこちらの都合お構いなしに無理やり話を聞かせてくるだろう。同室なわけだし、話したいときに話してくれればそれでいい。寝てるところを叩き起こされるのは勘弁だが……。
「なぁ。もし……」
 もし――……?
「人生をやり直せるとしたら。お前だったらいつに戻りたいと思う?」
 もし戻れるとしたら――?
 しばし考えてから頭に疑問符が山ほど浮かんでくる。
「はぁ?!」
 俺の出したすっとんきょんな悲鳴にボルスが瞬間ひるむのがわかった。
「たとえば、の話だ。そんな変な声出さなくたって良いだろうが」
「……そういうわけではないんだが」
 まったく心配損だ。
「で、お前はどうなんだ」
「俺は……考えてみてもどうにもわからない」
「お前らしくて良いじゃないか」
「お前だったら?」
「……戻る必要なんてないな。やり直せたとしてもきっと同じ道を進んで同じ過ちを繰り返して今と同じ自分にたどり着くと思う」
 ボルスは随分なアホ面であっけにとられていた。そんなに驚くことを言ったつもりはない。
「お前らしいな」
「……お前、それは馬鹿にしてるのか?」
 わざと訝しそうに尋ねてみると思いの拠らぬ返事が返ってきた。
「いや、凄いなと思って」
 半ば投げやりに発せられたところを見ると、きっと心からの賛辞なのだと思う。
 でも俺は別に凄くなんかない。さっきまでだった、まるで日課のように鬱々と独り眠れずに悩んで、答えが見つかっているのにそれでも悩んでみたりしているのだ。
「思考する時の、方向性の違いだろ」
「そうだろうか……」
「そうだよ。俺は、多分苦しむのが好きなんだ。そうしてる自分が心地好いんだよ。……生きてるって気がする」
 先程元に戻ったはずのボルスの表情は気がつけばまた曇り始めていた。
 こいつは昔から単純なくせに妙なことでやたら悩みこむところがある。大抵は誰も気にしたこともないような些細なこと。今回のように考えても仕方ないようなことにばかりひたすら真剣に。お前は哲学者にでもなるつもりかと本気で突っ込みたくなるときがある。
 どうせ今回も酒場やなんかで場しのぎに誰かが突発的に思いついて口にしたら思いの外盛り上がったとかそんなだろう。酒に呑まれず肴に呑まれてどうするんだ。
「ったく、くだらないことで悩んでないでさっさと寝ろ」
「なっ! ちっともくだらないことなんかじゃないぞっ! 」
「だったら俺を巻き込まずに独りで悩んでろよ。俺には間違いなく意味無いことだ」
 今、俺が散々悩んで答えを出せずにいるモノは過去ではなく数寸先の未来のことで。俺にはそんな風に過ぎたことをボルスのようにぐるぐる悩むことなど出来ない。どんな風にあの人に切り出すべきか。結果もわからないのに最悪な予測にびくびく恐れて答えが出せない。
「……あのな、お前より俺のほうが余程ネガティブだと思うぞ。それに俺はお前ほど単純に出来てないし。お前みたいにそんなことで悩まない代わりにお前には理解できない様な馬鹿げた事で散々悩んでいたりする」
 そう言うとボルスは少し黙り込んでしまったが、すぐに縋るような目で、いや、一層凄むような表情でこっちを見据えた。これは巻けそうもない。
「聴いてくれるだけで良いんだ。頼む」
「それで気が済むなら構わんが」
 呆れた俺の声色も余所に奴は飛びつくように話し出した。
「この話題が出たとき、俺はすぐさまあの焼き討ちのことを思ったんだ。戻れるとして。戻ったとしてどうしたら俺は同じ過ちを犯さずに済むか考えた。しかし、わからないんだ。わからないからどんどん遡って考えた。けどやっぱりわからないんだ。俺の全力が足りなくていろんな失敗をして……だったらいつに戻れば総て解決するのか」
 勢い良く捲くし立てたくせに次第にその声は萎んで行く。
「……そ、いくら考えても誰にもわからない。だから俺は先のことだけしか今は考えられない。考えない。過去を忘れるんじゃない、考えないだけだ」
 ま、乗りかかった船だ今夜はいくらでも聴いてやる。こうしてお前のお悩み相談に付き合えるのも後暫くのうちだけだ。
 それからボルスは飽きることなく随分夜更けまでしゃべり続けた。俺はひたすら聞き手に回った。
 どうしたって人間はこうやって何かをぐるぐる考えないと生きていれない。その何かが人によって違うだけだ。皆どこかで悩み続けてる。
 しゃべりたいだけしゃべってすっきりした顔をしたと思ったら直ぐに寝息が隣から聞こえ出した。まったく……。
 ごろりと寝返りを打って天井を仰ぐとぼんやりと思い出した事があった。
 そういえば、彼女にも同じようなことを言った覚えがある。

 ――俺は、多分苦しむのが好きなんですよ。
 そうしてる自分が心地好い。
 ……生きてるって気がする。

 そう言ったらあの人は何て言ったっけ?



 泣きそうな顔で万遍の笑みを浮かべたんだ。そうして“安心した”と嬉しそうに言っていた。
 お前がいてくれて良かったと笑ったあの人に、俺はどんな風に伝えたら良い?
 ボルスの能天気な寝息が静かに部屋に響く。
 なんだか馬鹿馬鹿しくなってきた。
 俺は俺の選択を間違っているとは思わないのだから、だったら思うままに伝えたら良いじゃないか。何も一生の別れを切り出すというわけではないのだ。













☆☆☆☆☆☆☆

読んでくださってありがとうございます!
うじうじ悩むパーシィちゃん万歳!
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