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◆幻想水滸伝(パーシヴァル中心に全シリーズ)をメインとした趣味の二次創作・固定ヒロイン夢小説を扱ったブログです◆各版権元製作企業・関連会社とは一切関係ございませんが著作権は筆者さやなにあります◆
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さやな

Author:さやな
寒いと生きていけないと言いつつ
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モノ書きするくせに筆不精な自分が歯がゆい今日この頃

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ジルオール・レムオン×ミイス主 【 雛鳥と大空と鳥かご (2) 】

 自分の気持ちに気づくアリス。 







 ――あの人はきっと兄にはならない。でもきっとあたしは離れられない……。






【 雛鳥と大空と鳥かご (1) 】













【 雛鳥と大空と鳥かご (2) 】


























 アリスの兄はとても優しい人だった。物腰も柔らかく、口元にはいつも微笑みを湛えている。彼が大丈夫だと言えば、本当に大丈夫なのだろうと納得してしまえるような頼もしさがあった。愛しさゆえの買い被りも身内うえの過小評価も、彼の口から出たものだと拗ねることなく納得してしまう。もちろん、彼女は自分がまだまだだと知っていたし彼が思うほどもう子供でないことも知っていた。兄はいつまで経っても妹を子ども扱いした。既に妹も成人していることなどすっかり忘れてしまっているように。
 アリスはそんな兄が愛おしくて堪らなかった。
 出来た兄を持つ彼女の暮らしにはそれなりの重圧があって、そんなものまるで気にならないような顔で日々修練を積み周りの期待に応えてきた。村の人々が彼女に向ける目は常に温かなもので、そこには常に羨望と希望とが篭もっている。胃が痛くなる程の重圧には感じなくとも、重圧には変わりない。まるで何にも出来ない子供を守るようにいつでも彼女の傍で彼女を守る兄と、兄とは対照的に甘やかすことはせずいつでも一人の対等な人間として彼女を扱った両親はいつだって彼女の心の支えであり誇りだった。
 両親はもう居ない。兄も、今は何処に居るのかわからない。思い出せば、胸が苦しくなるから今はまだ思い出を辿る気にはなれない。家族の存在は彼女の生に沁み込んでいてわざわざ思い出すまでも無く今もいつでも支えであることは変わりなかった。
 男も女も、愛する者の隣では唯の男で唯の女。恋愛を知らないアリスにとって、いつまで経っても何も知らない子供のように妹を扱う兄はそんな存在と少し似ている。兄の傍に居る時は無知無能な子供で居ることが許される。それはとても心地良かった。兄の方も、そんな彼女の心境を量って甘やかしていた。出来た妹は何より彼の誇りで、愛おしくて堪らない。
 だから彼はその時、安心して止むを得ない策を実行することが出来た。
 兄も両親も、彼女の中にある無限の可能性に既に気が付いていた。自分たちが居なくて彼女ならきっと大丈夫だと――。






 二日後に城門で仲間と落ち合うとアリスは新たな依頼を手にいつものように冒険へ出発した。二日振りに顔を合わせた仲間は相変わらずだったがセラだけがやっぱり様子がおかしいとアリスは思った。無駄口を叩くとどうせまた怒られる。そう思ったアリスは自分の疑問に蓋をしていつも通りをやり過ごす。
 数日後目的地のアミラルで依頼の品をギルドに届け、次の依頼を引き受けた。到着した時刻も遅く道具の買出しなどもあるため、そのままアミラルに二泊することが余儀なくされた。
 その晩、アリスは眠れなくて夜風に当たろうと少し散歩に出ていた。いざ話をしようとするとセラは捕まらず、気になって仕方なくなっていたのだ。
 兄様の親友であるセラはやっぱり偽りだとしてもあたしに新しい兄様が出来るのは納得いかないだろうか?
 ――でもそうだったらセラならきっといつものように怒ると思う。
 あたしのお守りがなくなって清々したのだろうか?
 ――なのに結局元のまま冒険者だから……。
 アリスは道端の塀に腰掛け悶々と考え込んでいた。
「おい。女がこんな時間に出歩くな」
 突然掛けられた声はいつもの憎まれ口だった。ふっと彼女が顔を上げるとセラが息を呑んだのがわかった。
「どうした?」
 向かいに立ったままのセラの声は随分と優しい。アリスは思わず首を傾げる。
「まさかホームシックとか言わないよな」
 ただ単に馬鹿にされてるのかと思った。セラを睨みつけると彼は心外そうにアリスを睨み返した。アリスこそ心外だ。誰のせいだ。
「なんだかあれからセラってば変だから。気になってたら寝られなくなっちゃったのよ」
「俺が変?そんなつもりはないが」
「ううん。何かおかしいよ。あたし、怒られると思ってたのに怒らない」
「お前が怒られるようなことしなければ俺だって怒らない」
 そんなことはアリスだって分かっている。けれど、
「したもの。あたし、怒られるようなことしたよ」
 節目がちに淡々と話すアリスを前にセラはどこか罪悪感を覚えた。
 彼女が言っているのは先日のノーブル伯のことだろう。彼にだって色々思うところはあるのだ。ただ、あり過ぎて咄嗟に反応出来なかった、言葉が出てこなかった。それだけなのだ。また面倒くさいものを背負いやがって、とは確かに思った。でもそれだけだ。そのことについて彼女を叱ろうとかそんなことは微塵も思ってもいない。
 それよりも、彼には思うところが出来てしまったから。
「お前が選んだことにいちいち俺が口出しする権利はない。言っただろ、迷惑さえ掛けなければ構わないと」
 と、そこでセラは一度言葉を途切った。
 そうして言うか言うまいか少々悩んだ。
「それに……そういうのもありなんじゃないかとも思った」
「そういうのって?」
 アリスが首を傾げるのでセラは仕方なく腹を括った。
 自分のこの考えは、もしかしたら突き放しているようにも聞こえてしまうかもしれない。そんなつもりは毛頭ないから敢えて悟られないように濁したというのに。濁しきれていなかったということか。自分の不器用さが歯痒い。
 きっと彼女はきちんと説明しないと納得してくれないのだろう。
「冒険者を辞めてただのお嬢さんとして暮らすということだ。もともとお前は箱入りだったのだろう?ロイのようにいずれ外で修行したとしてもどうせ直ぐに去る世界だったんだ。それに、神器とロイの事は俺だけでどうにか出来る。お前が無理して付いてくることもない。……あの時、そんなのも良いのではないかと思った」
 案の定、アリスは予想通りの反応を返した。だから嫌だったのだ。
「セラ、あたしは邪魔?」
 そんな風に縋るような目をされても困る。そんなつもりで言ったわけではないのだ。
「そんなことを言っているのではない。ただ、例え偽りだとしてもお前には家族という存在が必要なのかもしれんと……」
 と、セラは違和感を感じて言葉を途切った。何に驚いているのかさっぱりはわからないがいつのまにかアリスが瞠目している。
「おい、どうした」
 彼女は上の空でやっとのことで相槌を打った。
「そう、かもね……」
 アリスは気づいてしまった。
 たぶん、いや絶対に、あの人は兄にはならない。兄はロイ一人だけで十分だし、きっとロイみたいな人しか兄のようには思えない。あの人はきっと兄にはならない。でもきっとあたしは離れられない……。
 既に彼の存在は確実に自分の大切な存在意義となっていて、でもそれは“家族”なんかじゃない。
その理由なんて何でも良かったんだ。だからリューガ家の養女になることに嫌な気はしなかった。理由なんて何でも良いから何処かに自分の居場所が欲しかった。
 理由なんて何でも良かったはずなのに、もはやそれもただの建て前だ。
 何処かじゃなくて、あたしはあの人の傍に居たいんだ。
 アリスは泣きたい気分になった。






 鈍感なセラは、昨夜アリスの見せた顔がどういう意味なのか良くわからなかった。ひとつ解かることはきっと自分が傷つけるような何かを言ってしまったのだろうということで――全くの勘違いだが彼には気づけない。
 そんな彼は最近、自分の不器用さを悔やむことが多い。
 彼の大切なものは姉と親友、それくらいだ。実に少ない。姉の傍を離れて冒険者として暮らすようになり親友と出会うまで、彼の世界はまさに姉一色だった。他のものは何もいらない。
 これまで姉と自分との関係の中に他者が加わることはなく、その入り込んだ他者を排除したいなどという嫉妬心に苛まれたことがない代わりに、彼は他人を拒むばかりか省みないという悪い癖があった。
 彼の悪癖はまだまだある。感情的で傍若無人な言動。ロイと出会い、その妹のアリスと出会い、彼の世界は広がって行っているものの――小さな小さな世界に閉じこもっていた彼には欠けているものがいくつもあった。彼の小さな世界では姉以外の他者を省みる必要もなく、たった一人の肉親である姉以外のことで彼は自省を求められることもなかったのだ。彼は自尊心が強い。しかしその自尊心もまるで小さな世界でのみ通用するもので、他人には傲慢にしか映らない。
 姉も親友も、どちらも今は傍に居ない。代わりに出来た大切な“親友の妹”を傷つけたくなくて彼は彼なりに自制しているつもりだった。
 感情的な行動も傍若無人な振る舞いも極力さけるようどうにか自制しているつもりだ。でも足りないものがある。圧倒的に彼は言葉が足りない。小言ならいくらでも言えるのにどうしてだろう。時々アリスが甘えた顔をするたびに心が痛む。
 ロイのようになれるとは思わない。それでも――。
 彼は自分がどれだけ自分本位で我が侭な人間か理解しているつもりだ。姉以外の他者に目を向けようとしない自分がそうであることは昔からちゃんと理解していた。大切なものが少ない代わりに、ひとりひとりに対する執着はとても強い。
 自分はなんて不器用な人間だろうか。言葉で伝えたいことのひとつも上手く伝えられないなんて。
 こうしてまた彼はひとつずつ自分の知らなかった感情を知り、成長する。大切なものを守る力を得るために成長して行く。






 あの人は自分に世界を見ろと言った。冒険を続けろと。
 恐らく、その理由はロストール市井で厄介ごとを起されても堪らないとレムオンが危惧したからだとアリスは考えている。ノーブル伯と言っても自分はお飾りで雑務は全てレムオンがこなす手はずになっているから特にアリス自身はノーブル伯として為すべき事も無い。実は、そういう仕事はそれなりに慣れているのに。
 一層のこと、遠くに居たほうが手を焼く手間は省けるということだ。
 きっとあの人はそういう人だ、と彼女は思うのだが、それはどこか淋しい気もした。
 アミラル滞在二日目、買出しを粗方終えてしまうとアリスは手持ち無沙汰になり酒場でぼーっとしていた。そういう時は大抵考えても仕方のない思考ばかりが回る。
 ロストール出立前、兄から有無を言わさず突きつけられた決まりごとはいくつもない。リューガ家の名を汚すような振る舞いは慎むこと。家督の命令は絶対。知らせが届いた時は何においても優先しロストールに戻ること。情勢に関わるような重要な決断を求められた時は必ずレムオンの指示を仰ぐこと。それくらいだ。後は自由に冒険することをゆるされたし、精々名を挙げてみせろと挑発的に言われた。
 ふと、あの冷血漢な兄の見せた意外な側面をアリスは思い出していた。
 ――俺は、従順な部下より共に歩める同志が欲しいのだ。
 上から人を見下す目線で何を言うかと思わなくもなかったが、そう言った彼の表情はそれまでとどこか違って見えた。
 その瞳には孤独が潜んでいる気がした。彼は怯えているのではないかと、思った。しゃべりすぎたと繕うように付け足したことから、きっとあれは彼の本心なのだろう。
 最も、レムオン自身はアリスがそんなことまで汲んだとは気づいていない。彼としては完璧に繕ったつもりだったのだ。
 アリスはおっとりとした性格で鈍臭く見られがちだが、他人の感情の機微に敏感であるし、頭の回転もそれなりに早い方である。それは彼女の育った環境のせいが大きい。彼女の周りには幼い頃からたくさんの人が集まった。だからといって、決してちやほやされただけで育ったわけじゃない。彼女はみんなの期待に応えなければいけないという義務感と責任感、そして人を見る目を養った。小さな村だが決して争いごとが起きないわけでもなく、そういう時彼女は静める立場に属していた。色んな人と触れ合う中 でそういった感覚も鋭くなっていた。
 決してセラがいつも馬鹿にするように箱入りだとか鈍臭いだとかが彼女の全てではないことを彼女自身もきちんとわかっている。特殊な環境がそうさせたように彼女は同時に自己分析も得意だった。しかし、どんな苦境よりも、今回のレムオンとの出会いは 始まりから彼女を悩ませていた。
 わからないことだらけだ。
 それは単に彼の目に映りたいというささやかなわがままのせいである。
 彼女は数ヶ月に一度は家に顔を出すように言われている。次にリューガ邸に訪れる時がアリスは心なしか楽しみなのだ。貴族としての嗜みを叩き込まれることは予告済みであるがそんなことは大した問題でもない。彼のためならそれくらいの苦労は朝飯前なのだ。
 それくらいに彼女はまだ良く知りもしない青年に惹きつけられていた。それが恋というものかも彼女自身は理解していない。
 セラが言ったように彼女には守られるべき家族が必要かもしれない。それは彼女自身否定する気もない。言われてみればそうかもしれないとも思うのだ。しかしきっと彼女は彼と兄妹にはなれない。旧知の仲であるエストのことなら兄と呼べるようになれるとは思うが、どう足掻いてもアリスとレムオンの関係は兄弟ごっこ以外の何者にもなれないような直感があった。
 あの人もまた自分と同じように自分のことを妹と見ることは無いのではないだろうかとアリスは思うのだ。
 アリスは大きな溜息をテーブルに落とすと地図を広げた。
 こういう時は何かに没頭するに限る。明日は早朝出立である。目下やることは見つからない彼女は翌日からの冒険の行程を確認すべく地図に視線を落とした。こうして思考を逸らせば今日の晩はきっと良く眠れるはずだった。














☆☆☆☆☆☆☆

読んでくださってありがとうございます!

ごらんの通り、うちのミイス主・アリスはレムオン兄様大好きです。
ゲーム本編だと主人公は粗雑な性格に描かれておりますが、アリスは意外とお淑やかなはず。
只今、絶賛プレイ中です。アトレイア闇落ち、レムオン救済ルートを浚ってます。レムオンに気を取られていたらぽろぽろ他のサブイベ取りこぼしてひどいことになってます。つまりはそうゆうことでありますw

亀より遅い更新で申し訳ありません。需要があるのかも謎ですが、書いてゆきます。
よろしければ引き続きお付き合いください。
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