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◆幻想水滸伝(パーシヴァル中心に全シリーズ)をメインとした趣味の二次創作・固定ヒロイン夢小説を扱ったブログです◆各版権元製作企業・関連会社とは一切関係ございませんが著作権は筆者さやなにあります◆
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さやな

Author:さやな
寒いと生きていけないと言いつつ
我が家は恐ろしく寒い
ということは実は寒さに強いのかもしれません

モノ書きするくせに筆不精な自分が歯がゆい今日この頃

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【 傷み 】

パークリ。
にわかに恋愛要素ありますが、恋愛話ではありません。

それが全く違っていても、互いに相手のポリシーを敬えるのは素晴らしきことかな。
いいえ、アプローチが違うだけで元を正せば同じだったり。





【 傷み 】


 重い体をどうにか起き上がらせて辺りを見回せば直ぐにそこが医務室であることがわかった。傷口が傷んだが、しかしこの発熱した体の気だるさは唯傷のせいだけとは思えなかった。
 記憶をどうにか辿るとパーシヴァルは自己嫌悪に陥った。
 そうして部屋の片隅を見遣るとそこには険しい顔をしたクリスが居た。

 時は数時間前に遡る。野暮用を言い付かり休憩時間を使って城下に繰り出したはずだった。ビネ・デル・ゼクセ帰りのクリスが厩舎に馬をあずけ城内に戻り際にパーシヴァルに声をかけた。一言二言言葉を交わし2人は別れたのだがその後その場は喧騒に包まれることになった。粗雑な罵り合う声は互いの目的地へ向かい始めていた二人にも聞こえた。
 なんてことは無い、行商に遣って来たグラスランド人とお高くとまったゼクセン人。そんな小競り合いは良くあることだった。自分など行かずとも長引けば直ぐに見張りの兵士が駆けつけてくるだろう。そもそも、自分などが出る幕ではない。言いたいだけ言わせてやれば良い。
 いつもならそう思うはずだが何か嫌な予感がしてパーシヴァルは踵を返した。
 あっという間に出来上がっていた人だかりを掻き分けて前線へ出ると、その瞬間聞きなれた音が耳に届く。彼は咄嗟に争っていた者達の間に滑り込んだ。
 唯の喧嘩に剣を抜いたゼクセン人と剣を向けられたグラスランド人の間に。
 長引く喧騒に痺れを切らしたクリスが先ほどパーシヴァルと言葉を交わしたその場所にもどってきた時、彼女が見たものは…無残にも斬りつけられ蹲る疾風の騎士の姿だった。
 強靭な剣技を持つ騎士と云えど剣を持たねば唯の人…。
 剣を抜く間も無かった。そもそも2人の間に滑り込んだのが彼で無かったならばグラスランド人は切られていたことだろう。
 斬りつけた男はかの有名な彼の姿に仁王立ちしたまま身を震わせていた。
 守られたグラスランド人は敵方である鉄頭が自分を守ってくれたという事実に呆然と立ち尽くしていた。
 クリスはすぐさま自分と時を同じくして駆けつけた兵士に指示を出す。一瞬静まり返ったその場は、兵士が愕然としている男を取り押さえ出来ていた人だかりは視線をその場から逸らすように散っていき、直ぐにいつもの姿に戻る。
 …ここは戦場じゃないんだ。
 そう思ったところでパーシヴァルの記憶は途切れた。
 
「どうかしましたか?」
 クリスに声をかける頃にはパーシヴァルはいつもの飄々とした様子に戻っていた。その様子にクリスは顰めていた表情をさらに険しくする。それは怒りそのものだった。
「バカか、お前は」
 低く唸るように紡ぎだされたその声にパーシヴァルは肩を竦める。
「毒が塗ってあったそうだ」
 パーシヴァルは、あぁ、なるほどとまるで他人事のように発熱の意味を納得する。
「どうして丸腰なんかで飛び込んだ!?」
「そんな暇ありませんでしたよ」
 多少声を荒げたクリスに彼は冷静に反論する。
「彼が切られれば、下手すれば外交問題に発展する恐れがある。いえ、間違いなくグラスランドは黙っちゃいないでしょう」
 こうして何年もグラスランドとの小競り合いを続けてはいるが、無駄な争いは好きじゃない。唯の言い争いならば、好きなだけやれば良い。けれどここは至って平和なブラス城だ。
 ゼクセンがグラスランドの行商人を拒まないのは何故か?
「それに―」
 次第にクリスの表情は呆れたような安心したような穏やかな表情に変わっていく。
「血を見るのは戦場だけで十分です。街での争いに剣を抜くのは反則だ。そこには国籍や人種など関係ないでしょう」
 命は命だ、とパーシヴァルは告げた。
「お前は…人に無茶はするなと散々言っておきながら…」
 直ぐに無茶をするのはどっちだ?
 呆れたように呟くクリスの声にはもはや怒りは消えていた。
「きっと貴方でも同じ事をしてましたよ」
「そうだろうか?」
「えぇ、貴方なら必ずそうします」
「そうだな…」
 そう、誰だって斬りたくて敵を斬っているわけではない。国を守りたいから、それだけだ。だから安堵する。一歩ブラス城へ踏み入れればそこは平和な街そのもので。グラスランド人が自分たちのことを鉄頭と軽蔑するように自分たちも偏見の目で見ていることは確かだ。けれど、この城砦の街で行き来する多種族を目にするたびにゼクセン人と彼らが交流しているところを見るたびにその平和さに心穏やかになるのだ。
「クリス殿?」
 いつの間にか考え込んでいたクリスを不思議そうにパーシヴァルが呼ぶ。それに彼女は静かに微笑み返す。
「お前は凄いな…」
 独り言のように小さな声でクリスは呟くと医務室を後にした。

 クリスの呟きはしっかりとパーシヴァルの耳に届いていた。クリスの後姿を見つめながら彼は1人小さく笑った。
 ―まったくらしくない…。
 いったいらしくないのはどっちだろうか?
 
 あれは彼女がまだ従騎士だった頃、自分の立場も省みずに小さな女の子を庇い自分よりも大分上位にある騎士の騎乗する馬の前に飛び出したことがあった。少女は無事だったがその代わりに騎士は馬から落ちた。騎士は憤慨したが、クリスは平然と彼に抗議した。そうして体面上彼女は3日間の謹慎を言い渡された。
 他にもやり方はあったのだ。恐らくそれがクリスでなくパーシヴァルならば憤慨する騎士を宥めることなど容易だっただろう。
 しかし彼女はその術を持たなかった。
 それが彼女の欠点でもあったがパーシヴァルにはそんな彼女の不器用な真っ直ぐさが羨ましくも見えた。
 謹慎を言い渡されぐっと唇をかみ締める彼女にたまたま一部始終見ていた彼がどれだけ説教をしたことか。嫉妬込みなだけにいつも以上に舌が回ってしまう。
 当時、パーシヴァルにはパーシヴァルの型があった。自分などが騎士団で生き残るためにそれは必要不可欠だった。それはあくまで真っ直ぐとは言えない言動も含まれる。上に媚びる事だってある。そんなことをしなければならない自分が心底嫌気がするのだがこればかりは自身でどうしようもなかった。今曲げれば全て水の泡になってしまうのだから。
 そんな彼にクリスは随分異様に映った。平民出である自分と同じように女である彼女は逆境が必ず付いて回るのに彼女はそれに真っ向からぶつかっていく。その様はとても無様でしかし彼女は無様にいくらでもぶつかっていく。
 彼は考えた。彼女が謹慎を食らっていた3日間中。
 自分について。
 果たして自分のやり方が、自分に嘘をついてまでしがみ付くこのやり方が正しいものなのか?
 そうして出た答えはいとも簡単だった。簡単すぎて笑が込上げてくるほどに。今までの自分が間違っていたとは言わない。それは全てを否定してしまうことになるから。けれど、もうその必要は無いのだ。よくよく見渡せば、自分はこんなにも上司や仲間に恵まれていたのだから。

 動けるようになれば戻って構わないと医師は言っていたが、念のため本日は休養するようにと執念深い軍師に言い渡された。そうしてパーシヴァルは体が動くようになると直ぐに自室には戻らずにクリスの元に向かった。
 執務室を訪ねると彼女は既に退室していた。
「本日は早めに上がられましたよ。随分お疲れのようでしたから」
 そうして、片付けに残っていたルイスは余計な一言を付け加えた。
 パーシヴァル様のせいですよ、きっと、と。
「…迷惑をかけてすまなかったな」
「おや、それはクリス様に言ってあげてください」
 悪戯な笑みを浮かべるルイスが何を言わんとしているか…は大体想像が付いた。お小言を言われてしまう前に。パーシヴァルは苦笑いを浮かべ逃げるようにクリスの執務室を後にした。
 医務室を去るときのクリスはもうそんなに機嫌の悪さを漂わせていなかったが…ルイスの口ぶりからするとすこぶる機嫌が悪かったのだろう。機嫌の悪い時のクリスは本当に恐ろしい。
 ルイスに聞いたとおりクリスの私室に向かう。
 まぁ、大体は想像が付く。
 きっと彼女は自室で難しい顔をして何かしら考え込んでいることだろう。
 目に見えるようだ、と、そんなことを考えながらパーシヴァルはクリスの元へ急いだ。






*******

読んでくださってありがとうございます!

この話のクリスとパーシヴァル、どっちが自分に近いかといえばクリスです。
それが許されるほどの才能が欲しいもんだ。
パーシヴァルは本当にスマートな方だと思う。
悩み症な気がするけれども、いやきっとそういう人ほど…。
彼は耐えて耐えて本心は隠して必死に這い上がってきたのだろうなぁ、と思います。
サラリーマンを尊敬してます。
あたしには到底無理だから。
と、パーシヴァルのようなスマートなサラリーマンの知人へ敬意を込めつつ誰に何を言われようと私は私だっていう自らの信念を込めて書いたものです。


先に物書き同盟に投稿しようと思いながら先にこっちにアップしてしまいました。。。
文才がないと痛感する今日この頃。。。いや足りないのは根気だろうか。
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