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◆幻想水滸伝(パーシヴァル中心に全シリーズ)をメインとした趣味の二次創作・固定ヒロイン夢小説を扱ったブログです◆各版権元製作企業・関連会社とは一切関係ございませんが著作権は筆者さやなにあります◆
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Author:さやな
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幻想水滸伝3パーシヴァル夢 【  抱 き 枕 (3)  】

新しい生活と多忙な毎日。
噂で耳にする彼の名前と夜の闇が心を弱くする。



――あの人も今、何かを誰かを想いながら同じ夜空を見上げているかしら?――



【  抱 き 枕 (1)  】【  抱 き 枕 (2)  】


 





【  抱 き 枕 (3)  】











 あの人はもう
 あたしの知らない遠いところに行ってしまった



 ずっと、そう思っていた

 この想いはもう忘れなくては



 いくらこの胸の中で温め続けていても
 報われることがないのなら
 早く思い出として記憶の中に埋めてしまえ
 けれどそれも叶わぬ


 忘れたくない……


 
 変わらぬ貴方を見てしまったから


 
 想うだけは許してください
 

 
 どうか…… 






 下働きの女性たちの宿舎の一室を借り受けリンの新しい生活は始った。トランク一つで自分は旅立ち、行商隊に委ねた残りの荷物は一週間後に届いた。仕事道具は持てる物だけを詰めて後は送ってしまったわけだが、生憎荷物の到着までは出番は無く、騎士団に今ある備品の把握と整理、そしてこれからやらねば為らない事を纏めるだけで悠に一週間かかってしまったのだ。
 数年前、長年務めていた技術者が隠居して以来、騎士団には専門の技術者がいなかったらしい。
 当面は彼女の技量を振舞うほどの大掛かりな仕事はなさそうだった。もっぱら修復の簡単なものを片付け、その手間に同僚の指導に当たる。
 リンが故郷であるゼクセン連邦を離れ身を寄せていた大国は学問が盛んで大きな学校がある。その中でも特に紋章技術の研究が盛んであった。彼女は長年そこで勉学に励んでいた。彼女がその大国へ渡ったのは、生まれつき人並みはずれた魔力を持っていたために紋章学を学ぶというのが目的だったが、それと平行して色々なことを学んだ。そしてものづくりが好きだからという理由だけで始めた鍛冶に一番のめり込んでしまって今に至る。もっとも、彼女の得意としたことは金属を打ち武器を鍛えるという一般的な鍛冶ではなく、修理や開発といったことだった。見方を変えればからくり師と大して変わらない。
 そうしてここへ武器庫の整備士、兼上級学術指南役として招かれたのだ。
 彼女は整備士としての仕事の傍ら、学術指南もこなしているわけで、よくよく考えていると人に教えてばかりである。自分が人見知りであるということを忘れてしまいそうな勢いだった。
 しかし彼女の生活範囲といえば宿舎と倉庫・演習場の往復の毎日、食事はもっぱら自炊で、後はその買出しに少しばかり街に出る程度だ。人だかりも苦手なので彼女は用もなければ街に繰り出すこともない。彼女が好んだその生活はとても閉鎖的だった。
 そんな生活をしているうちに2週間後には噂が尾ひれをつけて仕舞いには“もぐら殿”などという女性を指すには甚だ失礼な愛称までいただいてしまっていた。
 あれから直ぐに仲良くなったクリスと共にする昼食時に彼女が可笑しそうにリンに話して聞かせた。 男所帯に於いて小柄で可憐な容姿を持ったリンが羨望も含めてそう呼ばれているという事実には本人たちはまったく気づいていない。
 彼女のブラス城での生活は至って順調だった。同僚たちも当初突然現れた新参者に警戒を表したが直ぐに打ち解けた。それなりに楽しくやっていた。何より、突けば隅っこならず埃が飛び出すこの倉庫内では仕事は尽きず、リンはげっそりしつつも遣り甲斐に心を弾ませていた。
 無我夢中だった。
 けれど、静かになると浮ついた心が求めるものは休息ではなく黄昏だった。
 静かな時間、静まる夜更け。断ち切ったと思っていたものがふっと浮かび上がってリンの心を支配する。
 

 また困ってる。また泣いている。
 

 笑い方を忘れたように冷たくなる全身と乾いた咽喉。
 彼女は寝返りを打っては起き上がりまた横たわる。
 そうしてまた起き上がり煙草に火をつけてみる。横になっても閉じない瞼。
 そうしてまた起き上がり夜空を見上げる。
 少し窓を開ければ心地よい風が眠りを誘うはずだった。



 あの人も今、何かを誰かを想いながら同じ夜空を見上げているかしら?






 昔から目立つ人だった。それは今も変わっていないようだ。
 よく耳にする“あの人”と同じ名前。長い間耳にすることのなかった“あの人”の名前。その名前を聞くだけでリンはドキリとする。ドキドキではない。ドキリとするのだ。
 幼馴染の一人、ユーリが城下町で小さな飲み屋をやっていてリンはクリスと共にちょくちょく出かけるようになっていた。穴場があると言ってクリスがリンを連れて行ったのがユーリの店だった。ユーリが“あの人”のことを話題にすることはなかった。それはリンに気を遣ってだということはリン自身気づいていた。
 “あの人”の名前が出てくるのは主に噂話とクリスの話、上司であるボルスのぼやきが殆どだった。 リンの生活範囲はそれが殆どと言って良い。すなわち彼の名前を耳にすることが自然と多いのだ。 そのたびに彼女はドキリとする。
 あれが噂のパーシヴァル様だよと教えてくれたのは誰だっただろう。
 指差すほうを見ればかの人の面影が蘇える。リンが強張る顔をひた隠して興味なさ気な素振りを見せれば場がどっと沸く。あれになびかない女は珍しいと。
 クリスと取る昼食時にリンはそれとなく聞いてみた。
 女たらしだとか、フェミニストだとか…。それから初対面の時の“いたずら”の犯人であること。そして、平民の出の地方出身だということ。すかしているとか緊張感の欠ける奴だとか理屈っぽいなどと不平を言いつつも志願兵から団長の目に留まり騎士への道が開けた挙句ここまで登り詰めた凄い奴だと褒め称えるクリスの声はだんだん耳に入らなくなっていった。間違いなかった。
 その晩、リンがユーリの店に出向き問い詰めれば彼は罰が悪そうに微笑んだ。
 そうして彼女は心に決める。
 彼と接触するようなことだけは極力避けようと。



 遠めに見るだけでこんなに不安になるのだもの。
 会ってしまったらあたしはその不安に押しつぶされてしまうかもしれない。
 それが怖い――。



 知り合いかもしれないとは決してクリスには言わなかった。
 彼を見つけると咄嗟に隠れてしまう。そのくせ目が追ってしまう。
 見ているだけならばリンは幸せだった。
 会ってしまえばきっと空いてしまったその距離に絶望してしまう。そのうちに、彼とも演習やらで顔を合わせなくてはならなくなるかもしれない。なるべくその日が遠いことを彼女は願わずにいられなかった。
 クリスのあの性格からきっと彼もリンの話を聞かされているに違いない。


 パーシヴァルも、気づいているのかしら?


 恐ろしくてリンはその答えを見つけようとは思わなかった。















*******

読んでくださってありがとうございます!
多少読みづらい気がするのですが何度推敲してもうまくいかず・・・。
気づいたときに改定していこうと思います。
次でようやくパーシィがちゃんと登場します。

よろしければ引き続きお付き合いください。

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