FC2ブログ
当ブログは……

◆幻想水滸伝(パーシヴァル中心に全シリーズ)をメインとした趣味の二次創作・固定ヒロイン夢小説を扱ったブログです◆各版権元製作企業・関連会社とは一切関係ございませんが著作権は筆者さやなにあります◆
プロフィール

さやな

Author:さやな
寒いと生きていけないと言いつつ
我が家は恐ろしく寒い
ということは実は寒さに強いのかもしれません

モノ書きするくせに筆不精な自分が歯がゆい今日この頃

まわりに創作仲間がいないのでお友達募集中です
人見知りですが来る者拒まず!
自分からなかなか入っていけない臆病者。。。


どうぞ皆さまよろしくお願いします
コメントがございましたらお気軽に拍手ボタンよりどうぞ。



当ブログはリンクフリーです



pixiv始めました!
id=4675251

ブログ内検索
カテゴリー
お世話になっているサイトさま
FC2カウンター
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

RSSフィード

幻想水滸伝3パーシヴァル夢 【  抱 き 枕 (8)  】

パーシヴァルの昔話。騎士を目指した理由。



 ――子供ながらに真剣に恋していたんだ。



【  抱 き 枕 (1)  】【  抱 き 枕 (2)  】【  抱 き 枕 (3)  】【  抱 き 枕 (4)  】【  抱 き 枕 (5)  】 【  抱 き 枕 (6)  】【  抱 き 枕 (7)  】






【  抱 き 枕 (8)  】















 酒を片手に月を仰ぐ。寂しそうに佇む月の輝きが大切な誰かと重なる。そんな風に月を見上げるのは何度目か……。一日とて彼女のことを想わない日などなかった。

 ……パーシヴァル・フロイライン。
 この名は彼女に捧げたもの。
 彼女のために騎士になることを決めたんだ。

 不意に口から笑みがこぼれる。零れ出たが最後溢れ出した。
 夜も更け静まり返った屋上に自分の笑い声だけが小さく響きわたる。なんだかそれは無性に可笑しくて笑いが止まらない。



「……ひとりでなにやってるんだか」
 ボルスは思わぬ先客に呆れた様に呟いた。その呟きまでは彼に届いていなかったが背後に近寄る人の気配にパーシヴァルははっとする。
 振り向くに振り向けなかった。気が付けば自分の目に零れんばかりの涙が溜まっていたからだ。
 ボルスはぽんとパーシヴァルの背中を小突くと隣に立ち手すりに頬杖を付いた。微かにパーシヴァルに残る女の香り……。隣ではパーシヴァルが声を押し殺して緩んだ瞳留めていた。

 ……何かあったのか、こいつ。

 気になるが、少し乱れた髪のせいか、いつものすましたパーシヴァルらしからぬ様子に触れてはいけないと感じ取る。

「寝られなくてね。風にあたりに来たんだ」
 ボルスは静かに慎重に言葉を選んだ。
「昔のことを、思い出してた」
 どう反応していいものか判断しあぐねてボルスは言葉を詰まらした。
「俺が……騎士を目指した理由、話したっけ?」
「さて、どうだったっけか」
 パーシヴァルはあまり自分の昔話を話したがらない。そんな彼が珍しく過去の話を自ら持ち出した。その唐突さに驚きながらもボルスは必死に冷静を取り繕った。
「女のためさ」
 一層清清しいくらいにはっきりと告げられた理由に、そりゃお前らしいと率直に返答したボルスをパーシヴァルは背中越しに軽く睨みつけた。
「愛する人を守るため。守ることの出来る身分を手に入れるため」
 貴族のお嬢さんにでも恋していたのだろうか。パーシヴァルにも純情さのかけらがあるんだな。ボルスは微笑ましく思った。
「士官学校の頃――今思うと本当にらしくないと思うよ――それはもう目に余るほど我武者羅だった。最愛の彼女を守れなかった自分に対しての負い目が自然とそうさせるんだ」
 守れなかった彼女って……故郷に居た頃のことだろうか。そういえば、普段パーシヴァルはあまり昔の話をしたがらないが、彼の幼馴染であるユーリの店に行くと彼らの故郷の話題が頻繁に出る。その際、他の幼馴染の名前をふたりは口にするが、それらしき女の名前が出てくる事はなかった気がするのだ。



「彼女が近くに居ることは知ってたんだ。けれど俺は彼女を探そうとは思わなかった。当時はまだ身分違いだったからなぁ。……何より……俺自身、彼女を悲しい目にさせた一人だったから――」
 単純なボルスの頭には少々この聞き役は荷が重い気がしたが彼は一生懸命パーシヴァルの話に耳を傾けた。



 昔から彼女の後継人というのにパーシヴァルは甚く睨まれていた。彼は彼女のことを眼に入れても痛くないくらい可愛がっていたのだ。それはもう傍目には異常に映るほどだった。実の兄が彼女の傍に近寄るのことすら懸念する。彼女に近づく男は片っ端から排除しようとする。その頃のパーシヴァルたちなどほんの子供に過ぎないというのにだ。
 子供ながらに真剣に恋していた。その真剣さが彼は怖かったのだ。
 彼女は、ずっとパーシヴァルたちとは一緒には居られないから、いずれ彼女が悲しい想いをするならと。



「高貴な身分の方だったのか」
「結構な貴族ではあったが、ちょっと変わった一族でな。生まれる前から彼女はその後継人とやらの元に養女に入ることが決まっていたらしいよ」
 理解し辛い話が多すぎて遂にボルスは首を傾げた。



 星の命め、というやつらしい。
 らしい、としかパーシヴァルには言いようがない。そういう仕来りなんだと彼女や彼女の兄から聞かされていた。その一族にとっては彼女は特別な人なのだと。知っている彼女の事情はそれだけだった。
 しかしそんな運命突きつけられたところで子供にそれがわかるわけがない。当事者である彼女すら、自分の置かれた立場の重大さをどこまで理解していたものか。彼女の胸のうちには終始不安が付き纏っていた。立場の重大さよりも、特殊な立場に立たされてしまった事に対する恐怖が勝っていたからだろうか。
 パーシヴァルの記憶に残る昔の彼女は良く笑う代わりに良く泣いていた。
 そんな彼女の隣で幼馴染たちはこの子を守らなければいけないと、まるで使命みたいに感じていた。そしてそれはさらに彼女を苦しめていたことに彼らは当時気づいていなかった。
 そんな彼らの使命感は体は余所に頭と心ばかり先立って成長させた。思春期に差し掛かった頃、パーシヴァルはそんな彼女が見ていられなくて今考えても無謀に思える行動に出た。全てが終わったとき彼女は泣いていた。声も出さずに表情ひとつ変えずに感情の篭らぬ顔で、それでもそれは泣いているようだった。
 綿密に計画出来ていたと思っていた駆け落ちは見事に失敗した。そしてそれ以来彼女は村に来なくなった。
 敗因は無謀さなどと当時のパーシヴァルは気づく事もなく、ただただ自分の非力さを悔やんだ。そうして暫くした頃、彼は彼女を守る術を掴むべく故郷の村を飛び出したのだ。貴族階級が幅を利かせたこの国で平民出身のパーシヴァルがその希望を手に入れようということもまた無謀としか思えぬ決断だったが、それでも彼は運良く自らの力でそれを掴み取り道は開かれた。



「今はだいぶ良くなってきたみたいだけれど、昔の彼女は少なくとも俺たちの前ではもっとこう表情豊な子だったんだよ。よく笑うしコロコロ表情変えて人懐こくって……」
 懐かしそうに目を細めたパーシヴァルの表情は苦痛で歪んでいるようにボルスには見えた。パーシヴァル自信は純粋に懐かしんだつもりが話の重さにボルスには苦々しく思えてしまった。



 あの瞬間から変わってしまった。故郷で最後に目にした彼女はまるで人形のようだった。














*******

読んでくださってありがとうございます!


今回は前回のその後――に見せかけて
実は前々回のその後なのでした。


ボルスが会話に出てくるとどうしてもボルスよりの視点になってしまいます。そして作風が微妙に揺れる。ボルスは書きやすいです。くるくる悩む様が。一方、パーシヴァルは独白が書きやすいんですよね。
今回と次回は構成に随分悩みました。長ぜり好きなのですが小説になると長いかぎ括弧が苦手です。話者以外の登場人物の存在感をうまく表現できる自信がないのです。あーあ、戯曲なら役者無視して何ページも独白書いちゃうような鬼のくせに。
毎度毎度わかりづらい文章にお付き合いいただいてありがとうございます。
そろそろ折り返し地点だろうか。しかし推敲するたびに結局加筆する羽目になりどんどん増えていくページ数・・・。
よろしければ引き続きお付き合いください。
関連記事
スポンサーサイト



web拍手