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◆幻想水滸伝(パーシヴァル中心に全シリーズ)をメインとした趣味の二次創作・固定ヒロイン夢小説を扱ったブログです◆各版権元製作企業・関連会社とは一切関係ございませんが著作権は筆者さやなにあります◆
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さやな

Author:さやな
寒いと生きていけないと言いつつ
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幻想水滸伝3パーシヴァル夢 【  抱 き 枕 (11)  】

ヒロインの誕生日、空回るパーシヴァル。



 ――誕生日のお祝い、それ以上の他意を含んではいけない
    込めた想いは上手く包み込んでしまえ



【  抱 き 枕 (1)  】【  抱 き 枕 (2)  】【  抱 き 枕 (3)  】【  抱 き 枕 (4)  】【  抱 き 枕 (5)  】 【  抱 き 枕 (6)  】【  抱 き 枕 (7)  】【  抱 き 枕 (8)  】【  抱 き 枕 (9)  】【  抱 き 枕 (10)  】








【  抱 き 枕 (11)  】
















 こういう時に限って多忙が重なり纏まった時間というものが急に取れなくなってしまった。気が付けば当日の約束すら取り付けていない状態で明日がリンの誕生日だ。
 仕事上は殆んど接点がないが、仕事外となると近頃リンと共に時間を過ごすことが極端に多くなった。珍しく早めに仕事が終わったと思えば、そうして誰かしらに飲みに誘われ、大抵リンもそこに居合わせる。適当な断り文句も見つからず結局いつも付き合う羽目になる。彼女と顔を合わせても諸事情で言い辛く、毎度誘いそびれる。   
 贈り物を何にするかすら未だ見当が付いていない。ようやく今日になってこの間のようにぶらぶらと様々な店を梯子していた。



 パーシヴァルはリンの兄と長年手紙の遣り取りをしている。文化の随分違う異国での生活を彼は面白おかしく手紙に綴って遣すがリンを話題に上げることはあまり無く、パーシヴァルのほうからも彼女の近況を尋ねることは憚られた。しかし毎年彼女の誕生日が近づくと彼はリンに贈る品をパーシヴァルに相談する。自分からリンにプレゼントを送る勇気が無い代わりに、俺に相談するなとは言えない。相談とは言いつつ色や柄まで細かく指定させられるので毎年彼女が兄から受け取る品はパーシヴァルが選んだようなものだ。その後届く彼からの手紙は毎度大喜びするリンの姿が手に取るように書かれていて、そんな彼女の姿を想像するとそれだけで密かに幸せな気分になれた。
 そのほとぼりがさめるまでの間が通年のうち最もパーシヴァルの機嫌の良い期間となり実は影で周囲に気味悪がられている。
 そういう理由で長く離れていたがリンの趣向は良くわかっていたのに今回に限ってはどうしても納得の行くものが見つからない。どうせ贈り物をするのなら相手が飛び切り喜ぶ顔が見たいに決まっている。
 今まで選んできた物は敢て装飾品ではなく長く日常的に使えるものが多かった。物凄く幼く見えるがそれでも昔より随分と大人びた彼女の姿を知ってしまうと自然に目は煌びやかな物へ行ってしまう。しかし、飾り気のない彼女を思うとアクセサリーの類は特別なものに見えてしまうような気がして気が引けた。
 彼女はきっと勘違いしている。だからこそ彼女はきっと自分の贈り物を喜んで受け取るだろう。出来れば勘違いしたままで居てくれたほうが都合が良いのだ。お祝い以外の他意が含まれてはいけないのだ。
 普段の彼女は可愛らしいがシンプルなデザインのワンピースが多い。髪飾りやネックレスをしているところもあまり見かけない。耳元にいくつかピアスが空いているが髪の毛に隠れてしまっていることが多く殆んど目立たない。本当に飾り気がないのだ。リンはまさにお人形のようだ。しかし派手な性質を好まない彼女は目鼻立ちのはっきりとした自分の顔の造形は少しコンプレックスと感じているようだった。飾り気がなくとも綺麗な金髪と相まって彼女の容姿は十分艶やかな印象を人に与える。しかし癖毛のせいでふわっとした自分の金髪は彼女自身気に入っているのでいつも長く髪を伸ばしている。唯でさえ目立つため彼女は装飾品などで着飾ることを避けるのだ。
 彼女のことだ。指輪を贈っても何も考えずに気に入ったら毎日身に着けて大事にしてくれるだろう。そう思うととてもではないがそんなものは彼女に贈れない。居た堪れない。



 パーシヴァルの目は一点の指輪に留まっていた。
 その店の品は店の続きに構えられたアトリエで新鋭の職人が一つ一つ手作りした一点ものである。一見スタンダードな造りだが良く見ると所々に光る個性的なデザインとそこそこの価格が受けて近頃若者の間で人気上昇中のブランドだ。
 シックさと可愛らしさ、相反しそうな二つのイメージが上手い具合に交じり合ったその指輪はリンのイメージと重なった。
 似合いそうだなと思い始めるともはや他も物に目移りできなくなる。しかし指輪は難易度が高すぎる。

 ……あぁ、そうか。

 ミスリードしてしまえば良い。
 きっと彼女は簡単に騙されてくれる。それにそうすればサイズを考慮する必要も無くなる。
 指輪を手に取るとパーシヴァルはもう一点あっさり見繕い会計口に向かった。包まれる前に一言告げて可愛らしく包装されていく様子を眺めていた。
 他意を酌まれれば彼女は悩み込んでしまうに違いない。それだけは避けなければいけない。後は、どれだけさらりと渡すかだ。
 
 誕生日を覚えていた事にリンは驚くだろうか?喜んでくれるだろうか?
 
 後ろめたさとは裏腹に心が躍りだす。






 当日、効率良く仕事を片付けて行くが終わってみれば定時は大分過ぎていた。休憩の時間を使ってリンに声を掛けておこうと思っていたがそれも大幅にずれ込み結局彼女を捕まえる事は出来なかった。帰りがけに倉庫を覗いてみると既に彼女の姿は無く、直接訪ねることにする。彼女は出不精で大抵は仕事が終わると誰かに誘われない限り家に篭っていることをパーシヴァルは知っている。家に居なかったとしても大体行き先は予想が付く。
 一度部屋に戻ると特に気合を入れる必要も無く普段着に着替え、昨日購入した包みを手に取った。

 ……別に告白しようというわけでもないのだから緊張する必要なんてないじゃないか。

 何故かそんな事を自分に言い聞かせたが、気持ちが逸っているのは確かだった。



 何度かノックをしてみるが主が出てくる様子はない。パーシヴァルは早々に諦めて目的地を変更した。取り合えずユーリの店に向かってみる。



 カランという扉の音ともに店内に入るとすぐにユーリと目が合った。いらっしゃい、という挨拶に含み笑いが伺える。既にカウンターで談笑しているクリスとリンの後姿が目に入っていて殊更罰が悪く奥歯に物が挟まったような受け答えになる。
 奥からリン、クリスの順座っているのでパーシヴァルはクリスの隣に腰を下ろした。
「お前が慌ててるなんて珍しいな」
 慌ててるように見えたようだ。パーシヴァルは思わず苦りきった顔つきになるが直ぐにユーリに窘められた。
「……貴方でしたか」
 クリスは首を傾げたがそれくらいの苦言は許してほしい。
「取り合えず落ち着いたら?」
 そう言ってユーリはジョッキをパーシヴァルの前に置いたが今にも噴出しそうな顔をしている。パーシヴァル自身は完全に空回った気がしてならない。勢い良く酒を喉に通すとそのまま盛大な溜息が釣られた。
 もはやユーリはくすくす笑っている。女性陣ふたりはあっけに取られてその様子を見守っているが何処か腑に落ちない。
「何か?」
 思わず不躾な聞き方になる。
 するとリンが言い辛そうに言葉を濁すが直ぐにクリスがど真ん中を突いて来た。
「いや、振られたのかと……」
 これでも彼女は濁したつもりなのだ。しかし直球なその言葉に思わずパーシヴァルは口に含んでいた分を噴出しそうになる。咽せ返りつつどうにか聞き返すと返事はリンから返ってきた。
「ボルスが。パーシヴァルは今日、デートだって」

 あいつ、そんなこと言ったのか!

 そういえば、昼間飲みに誘われたのを断った。が、今晩は用があると言っただけだ。ボルスなら仕方ないと思いつつ、どうしてそうなる!とここには居ない彼に突っ込みたくなる。
 もはや止めを刺されてパーシヴァルはにべも無い。彼女の事だ。自分の誕生日をすっかり忘れている可能性は考えていたけれどこれは予想外だった。
「今日はリンの誕生日でしょ?」
 助け舟を出すようにユーリが告げると当の本人は興味もなさそうに、そういえば、と言った。
「だからお前探してたんだよ」
 ようやく息を整えてパーシヴァルがそう言うとリンは心なしか嬉しそうな顔をしていた。
 一方、クリスは一瞬で青くなった。隣のパーシヴァルの顔色を伺うと怖い笑顔が張り付いている。気づいちゃったのなら容赦はしませんよ、と書いてある。罰が悪そうにすまないと小声で謝ったが恐怖の笑みは暫く消えそうにない。
「パーシィ、女の子にはやさしくね?」
 また直ぐに茶々を入れるようなユーリの窘めにクリスには悪いが内心舌打ちすると、流石に見越した彼女は徐に仕切り直した。
「じゃ、じゃあ……今日はリンのお祝いだな!」
 ちょくちょく飲みに誘う理由を聞いたところ、お前が居るとリンが喜ぶと以前クリスが言っていた。恐らくその時は単純にそれだけだったのだろう。しかしこれで完全にばれてしまった。ボルスといいクリスといい……厄介そうなところにばかり知られてしまってパーシヴァルは頭を抱えたくなる。
 やっぱり店に入る前にジャケットのポケットに包みを突っ込んでおいて正解だった。















*******

読んでくださってありがとうございます!

浮かれているのでいつもよりも大分警戒が甘いパーシヴァル・・・。そりゃクリスにもばれるわ。
自分で考えておきながらなんですが浅はかな作戦です。上手くいくのでしょうかねぇ。

よろしければ引き続きお付き合いください!
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