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◆幻想水滸伝(パーシヴァル中心に全シリーズ)をメインとした趣味の二次創作・固定ヒロイン夢小説を扱ったブログです◆各版権元製作企業・関連会社とは一切関係ございませんが著作権は筆者さやなにあります◆
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さやな

Author:さやな
寒いと生きていけないと言いつつ
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モノ書きするくせに筆不精な自分が歯がゆい今日この頃

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幻想水滸伝3パーシヴァル夢 【  抱 き 枕 (12)  】

幼馴染と過ごす懐かしい時間。ごきげんな彼女とパーシヴァルの想い。



 ――自分から一線置くように仕向けている癖に他人にそれをやられるとやたら腹が立つ。



【  抱 き 枕 (1)  】【  抱 き 枕 (2)  】【  抱 き 枕 (3)  】【  抱 き 枕 (4)  】【  抱 き 枕 (5)  】 【  抱 き 枕 (6)  】【  抱 き 枕 (7)  】【  抱 き 枕 (8)  】【  抱 き 枕 (9)  】【  抱 き 枕 (10)  】【  抱 き 枕 (11)  】








【  抱 き 枕 (12)  】















 席を替わるべきか、でもタイミングが――生真面目なクリスがそんな事を逡巡していることが見て取るようにわかってパーシヴァルは少し罪悪感に駆られた。後でフォローを入れなければ。それから、ボルスやクリスが今のように自分たちの間で板挟みになるようなことは極力しないよう気を付けなくては大切な友人たちに申し訳ない。
 結局気を遣ったクリスは随分早い時間に適当な言い訳を繕って席を立ってしまった。彼女の帰り際、リンが随分引き止めたが、クリスも頑固なので譲らなかった。そのままリンもクリスを送って行ってしまい暫く戻ってこなかった。
 その時のリンの表情にクリスも何か感じてしまったかもしれない。不安に染まったリンの表情にパーシヴァルとユーリは口を挟む事が出来なかった。
 


 この日は世間で言う休日明けで来た時から街は閑散としていた。ユーリの所も今日は人の入りが悪く、ほぼパーシヴァルたちの貸しきり状態だった。飲みに出るときは大抵そういう時を狙って行くので珍しいことではなかったが、二人いっぺんに居なくなると一気に店内が広く感じる。静かだ。
「気を遣わせちゃったねぇ。悪いんだ、パーシヴァル」
 いつものパーシィという愛称ではなく敢てパーシヴァルと言ってくるあたり、しっかり刺が含まれている。しかし、構いはしない。こっちにだって言い分がたらふくあるのだ。
「気を遣っていただきたいくらい色々あったんだよ」
 確かに自分に非があったことは認めるが、知らないところで勝手に話が大きくなっていたのだ。その件に関しては自分は被害者だと言いたい。
 そう、あの日だ。ボルスに夜更けに屋上で愚痴ってしまってからペリーズに捕まって深酒になってしまったあの晩までの間、たった一日で自分の状況がひどく不利になった気がする。様子がおかしいと心配してくれたみんなの気持ちは素直にありがたい。しかし最終的に素直にありがたいと思えなくなった。
 心配した同僚たちはパーシヴァルの親友であるボルスにまず探りを入れた。詰め寄られて困ったボルスは上手い具合に事情を誤魔化してあげたはずが、話は思いも寄らぬ方向へ走り出した。
 
 ――女好きのパーシヴァルに遂に本気の相手が出来たらしいと思ったら振られてしまったらしい。それで奴はかなり滅入っている。ま、それは自業自得だな。流石に省みて遊んでた相手全員片っ端から気って回ってるってさ。ほら見ろ、またご婦人方を冷たくあしらってる!

 というのが実際にパーシヴァルの耳に入ってきたのは幾日も過ぎてからだ。
 一番最後のだけは身に覚えがある。最近、そういうのがどうでも良くなって来た。その気もないのに優しくするというのは逆に失礼な気がしてきた。これまでは、そうして愛想を振りまくうちに気の合う娘に出会えば付き合ったりもしてきた。気の合う――つまり自分に本気にならない相手としかそういう関係にならない。本気の相手は別に居たし、踏み込むのも踏み込まれるのも面倒だった。そして本気の相手が近くに来てしまったからもうそんな相手を探す必要もなくなった。
「あぁ。この間なんかぼやいてたよね、そういえば」
 頭痛に負けて買い物を断念したあの日、部屋に戻っても悶々とするばかりで結局憂さ晴らしに愚痴りに出かけたのだ。
 女好きだとか、遊んでいる女がたくさんいるなどというのは、事実ではないが言われても致し方ないとパーシヴァルは自分でも思うのだ。しかし、それとこれとでは話が違った。気が付いたら自分よりも先にクリスによってリンの耳にこの話が入っているし、挙句彼女も同席していた酒の席で恋愛事情を吐かされたり……他にもぼやきたい事が山ほどあるのだ。
 自分から一線置くように仕向けている癖に他人にそれをやられるとやたら腹が立つ。自分勝手なのは十分承知だ。
 


 恋は楽しいけれど、恋愛は苦しい――苦し紛れに言った言葉に思わぬ同意を示したのはリンだ。そうだね、と言った彼女も苦しそうだった。



「ちょっと睨まないでよ。ほら、リンが戻ってきたよ」
 いつの間にか苦虫を潰していたらしい。パーシヴァルは気を取り直して表情を取り繕った。ふわりと隣に腰を下ろしたリンは出て行くまでが嘘のように随分楽しそうな顔をしていた。
「ふふっ、なんだか昔に戻ったみたいだねぇ」
 そういえば、こんな風に幼馴染水入らずとなるのは初めてだった。
「まったく。リン、パーシヴァルに苛められてない?」
「なんだよ、人聞きの悪い」
「も~!パーシヴァルは意地悪ばかりだよ」
「いつ俺が。助けてやった覚えなら多々あるが?」
「そうね。そうよねぇ。パーシィは優しいものねぇ」
 ちくりとパーシヴァルの胸が痛む。冗談でも、いや、冗談だからこそ痛い。顔を逸らしたくなるがそれは必死に堪えた。先程からカウンターの向こうでしゃべりながら手を動かしているユーリのほうを伺う。視界の端に映るリンは微笑んでいる。

 悟った振りして――そんな風に自分を傷つけるなら、俺に当たってくれて構わないのに。

 そう思うと悲しくなる。中途半端な自分に悲しくなる。
 そんなに縋る様な目をしていたのだろうか。少しの間流れていた沈黙にユーリが水を差した。
「この間女の子たちが噂してたよ。パーシヴァル様は最近、随分可愛らしい女の子にご執心だって。リンのことだよね」
 いつの間にか彼の手は止まっている。見ていたのだが、見ていただけなので何をしていたかさっぱりわかってなかった。リンを驚かそうとしているのだろう。出来上がったものはカウンターの直ぐ奥、隠れる位置に置いてあるようでパーシヴァルからも覗き見えない。
「なんのことだか」
 綺麗に重なった声に思わずパーシヴァルとリンが顔を見合す。そこまでぴったりだった。その反応にユーリは間髪入れずに噴出した。
「相変わらず息までぴったり」
 その後ユーリはおめでとうという言葉と共に簡易バースデーケーキが乗った皿をリンの前に置いた。パンケーキを重ねてスポンジ代わりにクリームやフルーツで彩られている。
 リンは嬉しそうにはにかむと手をつけたらもったいないとばかりに満面の笑みでケーキを眺めている。
 パーシヴァルはそんな彼女の様子を頬杖つきながら微笑ましく見守った。こういう時彼女は本当に嬉しそうな顔をする。与える側の期待を絶対に裏切らない反応をくれるのだ。だからついつい色々と構ってしまう。
 漸く満足したのかスプーンを握り一口頬張るとさらに頬を綻ばす。
「リンは随分一杯食べられるようになったんだね」
 そう言うとユーリは嬉しそうに完食された皿を下げた。
「ん~、でもみんなにもっと一杯食べろって言われるよ?」
「あたりまえだろ。体力勝負の職場でそれだけしか食べなかったら誰でも心配する」
 幼い頃からリンは少食だった。彼女曰く――気持ちが食欲に追いつかないとか匂いで満腹中枢が満たされてしまうとか、色々言い訳は聞いたが実のところは良くわからない。間違いなく精神的なところから来ているのだろうが。
「あのねぇ。流石にあれだけ動けばあたしだっておなかすくんだよ。だからいつもより一杯食べてるもん」
 そうは言っても足りてないのは明らさまだ。彼女もある程度鍛えられているし剣術を心得えているため筋力はある程度付いているがそれだけでは体力まで維持できるはずがない。女性らしい柔らかさは見受けられない。筋肉質ではあるが華奢な体、細い腕……折れてしまったらどうしようかと不安なるが、触れていないとそのうち消えてなくなってしまうのではないかと不安になるほど細い身体。そんな彼女は季節に関係なく年中長袖だ。
「ほっとくと食べないけどな。いつだかクリス殿がぼやいていたよ」
「でもでも流石に今日は食べ過ぎた気がする。甘いものは別腹だけど……もぉ、無理ぃ~」
「たまにはそれくらいに食べたほうが良いんだよ」
 こういう話になるとリンは大抵拗ねてしまうか駄々のような反撃が来るのが常だが、今日の彼女は見たまま余程機嫌が良いのだろう。そうかもね、とさらりと流した。
 リンはただ食べたくないのではなく、身体があからさまに拒否反応を示す。それをパーシヴァルたちは目の当たりにしたことがあるから、無理強いはとても出来ない。出来る事はなるべく彼女がたくさん食べられるように考慮してあげる事だけだった。



「ご機嫌だな」
「うん!楽しかったもの」
「それはよかった」
「クリスには悪いことしちゃったなぁ。元気がないからって誘ってくれたの」
「元気なかったのか」
「ううん、そんなことないと思うけど」
「昔っからお前は自分のこととなると無頓着だからな」
「……パーシヴァルだって人の事言えないと思うよ」
「そうかもな」
 いつの間にか手が繋がれていた。当たり前のようにリンはパーシヴァルの手を取ったが、当たり前なわけがない。
 時々縮まりそうになる距離はこんな何気ないリンの行動のせいだ。

 彼女はわかっているのだろうか。俺がこんなにも必死に距離を保とうとしているのに。

「ねぇ、手が冷たい人は心が温かいって言うでしょ?でもね、手が温かい人の心はきっともっと温かいんだよ」
「何だその理屈は」
「ん~?何となく今思ったの」
 リンの変な発想に、おかしな奴、と言うと声を立ててパーシヴァルは笑った。見下ろすとリンの頬がぷくっと膨らんでいる。
「なによっ。だってパーシヴァルの手が温かいから……」
 拗ねているのか何か考え事でもしているのかリンは段々おとなしくなっていき仕舞いに無口になった。
 宿舎の前に着いたら、この手はぱっと離れてしまうのだろうと思うと切なくて、パーシヴァルはしっかり握り返して残りの道中を進む。体温の低いリンの手はとても冷たい。次第に熱が移り温かくなっていく。温まった頃にはさよならだ。
 無意識の繋がれたこの手を代価に、自分もひとつわがままを言っても良いだろうか?もう少し一緒にいたかった。
「少しあがっていっても良いか?」
 パーシヴァルがそう聞くとリンは少し考える素振りを見せた。
「……どうぞ。コーヒーしか出ないよ?」
「あぁ、構わん」















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読んでくださってありがとうございます!

ユーリ君はこの作品だけでなく(実際に登場しているかどうかはさておき)色んなところに出現しているお気に入りのオリキャラです。かなりの古株。ポジションは大抵これと同じ。穏やかでいつもニコニコしているけれど、そのまんまの勢いできつい事もさらりと言っちゃう毒舌キャラです。

よろしければ引き続きお付き合いください!
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