FC2ブログ
当ブログは……

◆幻想水滸伝(パーシヴァル中心に全シリーズ)をメインとした趣味の二次創作・固定ヒロイン夢小説を扱ったブログです◆各版権元製作企業・関連会社とは一切関係ございませんが著作権は筆者さやなにあります◆
プロフィール

さやな

Author:さやな
寒いと生きていけないと言いつつ
我が家は恐ろしく寒い
ということは実は寒さに強いのかもしれません

モノ書きするくせに筆不精な自分が歯がゆい今日この頃

まわりに創作仲間がいないのでお友達募集中です
人見知りですが来る者拒まず!
自分からなかなか入っていけない臆病者。。。


どうぞ皆さまよろしくお願いします
コメントがございましたらお気軽に拍手ボタンよりどうぞ。



当ブログはリンクフリーです



pixiv始めました!
id=4675251

ブログ内検索
カテゴリー
お世話になっているサイトさま
FC2カウンター
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

RSSフィード

幻想水滸伝3パーシヴァル夢 【  抱 き 枕 (14)  】

ヒロイン視点に戻ります。前回までのヒロイン側の総括。

 

 ――越えてはならない一線
    はみ出し手してしまえばきっと終わってしまう
    そうして敷かれた暗黙の了解



【  抱 き 枕 (1)  】
【  抱 き 枕 (2)  】
【  抱 き 枕 (3)  】【  抱 き 枕 (4)  】【  抱 き 枕 (5)  】 【  抱 き 枕 (6)  】
【  抱 き 枕 (7)  】
【  抱 き 枕 (8)  】【  抱 き 枕 (9)  】【  抱 き 枕 (10)  】【  抱 き 枕 (11)  】【  抱 き 枕 (12)  】【  抱 き 枕 (13)  】






【  抱 き 枕 (14)  】





 










 腕の良い紋章師が居るという噂は随分前から耳にしていたがなかなか機会がなく件の紋章屋を覗いたのはその噂を知ってから随分経ってからだった。
 行ってみるとそこには昔馴染みの顔があった。こちらも驚いたが彼女のほうも随分驚いていた。驚かれた理由は、もちろん自覚がある。歳の割りに未発達な自分。虚弱体質のせいだとか昔患った病気のせいなどと誤魔化し続けて来たがわかる人にはわかってしまう。昔と変わらぬ彼女はリンの変化にひと目で気づいた。腕の良い紋章師がいると聞いたから訪ねて来たのだ。

 ――随分変わった紋章を持っているのね。

 見透かしたように言った彼女の微笑みは慈悲深い。縋りたくなった。
 
 だからあたしはもう二度とあの店には行かない。

 またそのうちきっと何処かで会うかもしれないわね、と彼女は言った。その時がずっと先の未来である事を祈った。
 幼い頃――潜在的に持ち合わせた甚大な魔力がリンの小さな身体には重荷だった頃、彼女と共に過ごしたあの僅かな時間はもう何百年も前のような気がした。それは10年と少し前のこと。
 その頃はまだ、村に帰れば笑っていた。



 安らぎと揺らぎは相反するようでいつだって必ず同居を好む。彼の目に映る彼女ははたしてどちらだろうか。
 どうして自分はあの時、彼に気づかなかったのだろうか。
 それはわかりきっていた。切り捨てたと思っていた彼への憂い。懐かしさと愛おしさだけを胸に抱えて潜った城門。瞼を閉じれば今でも鮮明に思い出せるあの別れの時。それよりももっともっと遠くの時間に気持ちが向いていたから――。
 その微かな香りしか気にならなかった。
 きっと彼の存在は自分を惑わす。惑わされてる。ずっと一緒になんて居れる筈ないのに彼の言葉を聴くと錯角してしまえそうになるから。
 彼がそこに居るという事実を受け入れたくなかったのだ。

 あたしが欲しかったのはおぼろげで構わないその面影。
 掴もうにも掴めない、それが丁度良かったんだ。
 だから確かめようとしなかった。
 その香りの在処までは――。

 ボルスやクリスに誘われればリンは断る理由が見つからず、そこには必ずパーシヴァルがいた。避けようにも上手く出来ない彼女は不本意ながら彼と時間を共にすることが多かった。
 あの晩のことはきっちり心の奥に閉じ込めた。そうするしか彼女は他に良い方法が見つからなかったのだ。閉じ込めて触らなければきっとそのまま夢見心地な幸せなひと時として綺麗に昇華されると信じた。彼の様子もその後特に変わることなく、ひとつだけ変わったことは昔に戻ったように今はあの仰々しい言葉遣いは一切出なくなったことだ。そして誕生日の晩、優しい彼によって本当に幸せなひと時として綺麗に昇華された。
 でもそれだけだ。
 彼は何も言わない。
 彼女も何も言わない。
 あの時、リンは思った。もしかしたらもう彼は自分に笑いかけてくれないのではないかと。恐怖とそれから訪れた至福、それらを覆う微かな違和感に彼女は不安を覚えた。彼は決別した、と。それが何となのかはかわからない。わからないが、彼の中で何かが変わったのは確かだった。
 気が付けば、いつもぴったり寄り添うように隣には彼が居る。その距離感が何を意味するのかリンは気づいていない。彼がいったい何を考えているの全くかわからない彼女は戸惑ってしまう。すぐそばに居ても越えてはならない一線がしっかり引かれているように感じる。無意識のうちにはみ出し手しまっていた今までとは一転、それは越えられないものとなった。
 お互い様かもしれない。越えてはいけないのだ。
 彼女たちは互いの知っている範囲を越えることを恐れていた。互いに知らない部分には踏み込まないように無意識のうちに距離をとる。後戻りできないほどに再び深みに嵌ることがないように。
 尋ねられたことがないから教えない。例え聞かれても言うつもりがリンには毛頭ない。きっとパーシヴァルも彼女が何か隠し事をしていることは気づいている。ずーっと昔から気づいていただろう。
知ってしまったらきっと終わってしまうから。そうして敷かれた暗黙の了解。それに甘えて良い筈はない、けれど……。
 パーシヴァルから贈られたネックレスは片身離さず身に着けた。きっと生涯手放せない。

 このチェーンを外してしまったらパーシヴァルはどんな反応をするだろう?
 遠くに、行ってしまうかしら?

 一層離れなくなってしまえば良いと思った。
 自分の秘密を打ち明ける勇気などリンにはないし、秘密のままいつまでも一緒に居るのは到底無理に思えた。今はまだ良い。けれど後数年も経てば次第に自分の異質さが目立ちだす。
だから。
 いつか、この指輪を指に嵌められる時はたぶん来ない、とその時は思っていた。
 変わらないという事は穏やかに富んでいるようで時になんて残酷なのだろう。籠の中に居れば平穏が時に息苦しくなるくせに、外の世界へ触れれば触れるほどそれは枷でしかなくなる。緩やかに緩やかに時が過ぎて行くと感じているのは彼女自身だけであって実際は目まぐるしく時勢は流れていく。その渦中が彼女の居場所なのに、まるで居場所がないような気分になる。
 追いかけても追いかけても逃げて行き、そのうちいつか消えてしまう。



 だから――
 見たくないものは見えないようにそっと蓋をする。















*******

読んでくださってありがとうございます!

まさかのあの人(笑)
伏線のためだけの登場ですのであしからず。
第二部を書き出したので、ぼちぼち次に繋がる伏線を張っていこうと思います。
真持ちではないのですが幻水の主人公ズの苦悩といえば、さらに3といえば、な設定になってます。

今更ですが、ヒロインの詳細設定表みたいの必要でしょうか?
こんな作風だし名前変換無しなので書いている側はあまり需要を感じていない次第ですが
欲しいよ~って方がいらっしゃいましたら拍手コメなどで知らせてくださると幸いです。

似た性質ではありますが真持ちの苦悩に比べたら彼女の異質さなんてきっと甘いものって程度にちょっと変わった星の元にヒロインは生まれました。それを理解したところで割り切ったり出来ないのが自分事、というわけで堂々巡りな流れは続きます。

よろしければ引き続きお付き合いください。
関連記事
スポンサーサイト



web拍手