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◆幻想水滸伝(パーシヴァル中心に全シリーズ)をメインとした趣味の二次創作・固定ヒロイン夢小説を扱ったブログです◆各版権元製作企業・関連会社とは一切関係ございませんが著作権は筆者さやなにあります◆
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さやな

Author:さやな
寒いと生きていけないと言いつつ
我が家は恐ろしく寒い
ということは実は寒さに強いのかもしれません

モノ書きするくせに筆不精な自分が歯がゆい今日この頃

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幻想水滸伝3・パーシヴァル夢 【  抱 き 枕 (15)  】

【  抱 き 枕 (15)  】

精神な不安定から体調を崩してしまったある日のお話。
上記リンクはFC2小説に飛びます。
PCからの方はこちらも読みやすいと思います。



 ――そういえばこんなことが何度遭っただろう?
    大丈夫だと言って手を振り払うくせに後で泣くのは自分
 


【  抱 き 枕 (1)  】
【  抱 き 枕 (2)  】
【  抱 き 枕 (3)  】【  抱 き 枕 (4)  】【  抱 き 枕 (5)  】 【  抱 き 枕 (6)  】
【  抱 き 枕 (7)  】
【  抱 き 枕 (8)  】【  抱 き 枕 (9)  】【  抱 き 枕 (10)  】【  抱 き 枕 (11)  】【  抱 き 枕 (12)  】【  抱 き 枕 (13)  】
【  抱 き 枕 (14)  】


※リンク訂正しました。ご迷惑おかけしてすいません。
 後書きはひとつ後の記事にそのまま残してあります。
 







【 抱き枕(15) 】














 その日は見事な晴れ空でこんな日に限って演習は屋外訓練場だった。コンセントレーションを高めるための指南を施すために敢えてリンはこの場所を選んだ。
騎士団内における紋章の精鋭部隊――と言っても紋章技術が進んだ国に居た彼女にしてみれば大したレベルではないのだが、を相手に行なう指南の一貫である。そういう訓練は五行の紋章、すなわち火水風雷土をより身近に感じられる場所が適している。
 本当に天気の良い日だった。体を痛めつけずとも精神力を使うということは同時に体力の消耗も生む。汗を流しながら訓練に取り組むものも多かったが、その中でただ一人マントを涼しげに着込むリンを皆が不思議そうに見ていた。
 暑さよりも何よりも日差しが彼女の体力を消耗させた。
 フードを深く被ってもじわじわと染みてくる日差しに終いには人知れず冷や汗を流す。背中を流れるその感触に鳥肌が立つ。彼女は暑さにばてる周囲を余所にぶるると身震いをしつつその寒気を必死に耐えていた。
 訓練が終了しその場から人が散るとリンは誰もいないことを確認するなり崩れ落ちた。そうして這うように日陰のある壁際に身を寄せる。暫く動けそうには無い。
 青空は嫌いではない。大好きなのに今は少しきつい。なんて勿体無い。そんなことを思いながらリンはぼんやり天を仰ぎ回復を待った。
 偶然通りかかった彼がひょこっと顔を覗かせたのはそんな時だった。
つかつかとリンに近寄るといつもの距離に立ち壁に背を預けるパーシヴァルの背は低い位置から見上げてより一層高く見える。
 お疲れ様の一言の他にぼんやりとした頭は特に話す話題も思いついてくれない。そして気だるさから彼女は口を開く気もしない。
「顔色が悪いようだが?」
 回復の気配も無くいい加減気を失いそうなほどにしんどくなっていたリンは自然反応に遅れる。彼女が口を開くよりも相手が屈みこむほうが早かった。
「お前、真っ青だぞ」
 そう言ってパーシヴァルはリンの顔に手を伸ばした。
その瞬間、触れようとした彼の手を彼女は思い切り跳ね除けていた。
 跳ね除けられたほうはひどく驚いた顔をしていた。それが彼の手を跳ね除けたことに対してなのか、それとも一瞬触れてしまっただろう彼女の体温の低さになのかは朦朧としていてわからなかった。
 どうでもよかった。ただただ調子が悪くて何も気にする余裕がないのだ。そうしてまた反応が遅れる。気づいた時にはリンはパーシヴァルの腕の中で抵抗する力などその時の彼女にはなかったのだ。パーシヴァルに抱えられたままぐったりとしていた。
 医務室に強制連行され医師の診察を終えるとパーシヴァルの涼しい顔で淡々したお説教が待っていた。一番たちの悪い類のだ。表情や口調が変わらないだけに余計に恐ろしいのだった。
「さっさと仕事戻りなさいよぉ」
「生憎、今は休憩中だ」
「……パーシィは相変わらずお母さんみたい」
 その言葉に彼の額には青筋が浮かぶ。
「お前が、それを言えるくちかよ」
「頼んでないもん」
「……自己管理くらいいい加減出来るようになれよ」
 自己管理をすればどうにかなるくらいなら倒れたりはしない。いくらあがいてみてもこの体質は変わらず、彼女の体は色んなものを拒否し続ける。それに加えて最近、殊更良く眠れない。規則正しい職場環境のお陰で夜になれば自然と眠気はやってきた。しかし寝付けば必ず嫌な夢を見た。いい加減、精神的な不調を全身が訴え始めていたいたところだ。
「食べてないだろう?」
 半ば図星だった手前、反論が出来ない。正確には、食べてないんじゃなくて食べられるだけしか食べてないだけだ。それ以上はどうしても体が拒否を示す。
「食べれるだけは食べてるよ?ちゃんと。なるべくちゃんと寝れるように頑張ってるし」
 そうしてパーシヴァルは大きな溜息をついた。それは呆れたというより諦めのようだった。
 それからまたなんやかんやと元の調子でお説教が始ったが彼は休憩時間いっぱいリンの傍に居た。耳を塞ぎたくなる説教は子守唄に変わりいつの間にか彼女は眠ってしまっていた。
 目が覚めたとき、リンの体調はすっかり回復していた。定時を少し過ぎた頃で仕事を終えたパーシヴァルが心配そうなクリスを伴って彼女を迎えに来たところだ。
後日問診に来るようにと言った医師がついでに付け加えた仲が宜しいんですねという言葉は妙に耳に残った。



 変に気を利かしたクリスと別れるとリンは本日二度目の強制連行を食らわされる。
 逃げようにもがっちり手を掴まれてしまい逃げ出すことすらできない。行き先はユーリの店だった。先にパーシヴァルより伝わっていたらしく怖い笑顔が出迎えた。
 いつの間にか出来上がっていたリン専用メニューが注文を取るまでもなく彼女の目の前に置かれる。食べ終わるまで帰さないと男2人に凄まれながら食べるご飯は美味しいはずがないではないか、など内心突っ込みつつ、彼女は必死に頬張る。
 ……やっぱりユーリのご飯は美味しいのだ。
 通常の一人前よりは大分量の少ないそれはリンにははやり少し量が多く、気を遣ってユーリが少しづつバランス良く構成された食べやすいプレートにしてくれているのにも関わらず途中で彼女の手は止まってしまった。
「そんな難しい顔して食べても楽しくないよ?」
 ユーリが可笑しそうに言う。
「でもねぇ……食べるって体力いるの」
「体力つけるために食べてるのにか?」
 わかってるくせにパーシヴァルはわざと聞き返す。彼はあっという間に大盛りの定食を平らげてしまっていた。そうしてお前は駄目だと言いながらエールをぐびぐび美味しそうに飲んでいる。
「だって疲れるんだもの」
「気負うからだろう」
「今日のパーシィは辛口だねぇ。あ、今日も、か」
「気負わないと咽喉通らない……」
 空気のように当たり前に進んでいくいつも通りの会話は何故か直ぐに途切れて沈黙に変わる。
 
 あたしだってわかってるんだ。
 二人がどんなに心配してくれているか。

 既につっかえだしていたリンの咽喉は遂に詰まってしまう。苦しくなった末は涙が出てきてしまうほど苦しい。

 わかっているんだ。
 いい加減みんなに迷惑かけちゃいけないって。
 
 堪えられない辛さは止め処なく溢れ出す。いい年してそれを堰き止める術を知らないあたしはなんて子供なんだろうかと自己嫌悪に陥る。そしてリンは癇癪を起こした子供のように泣きじゃくっていた。
 こういう時、彼らは何も言わずにリンが落ち着くまで静かに待つ。そうしてパーヴァルが優しく彼女の頭を撫であげるというのがいつも通りだった。
 しかし彼の伸ばした手はリンの頭には行かずに宙を彷徨い、そうして彼が踏み込んだ先は越えてはならない領域――。
 彷徨った挙句、パーシヴァルの手はリンをぎゅっと抱きしめた。自分の胸に押し付けるようにぎゅっと力強く抱きしめたのだ。
 止まるはずの嗚咽と涙は止まる気配は無くリンは次第に何も考えられなくなった。
 


 リンは膝を抱えてソファーに蹲っていた。抱えた両腕に顔を押し付けつつパーシヴァルの横顔を盗み見る。
 窓際で静かに煙草をふかす彼は苛立った表情を浮かべていた。
 ふたりは店の2階になるユーリの部屋に居た。彼の店は料理の評判はさながら、お酒がメインである。大抵店が込み始めるのは遅めの時間からだ。早い時間だったからリンが泣き出したとき他に客は居なかったのだがそろそろ店がにぎわい始める頃合いだろう。迷惑になってはいけないとパーシヴァルがリンを抱えて2階に上がってから随分時間が経つ。
 目が合うとパーシヴァルは手招きをした。怖気づいていると彼は自分の膝を叩いてみせる。そうして煙草を差し出した。彼女は恐る恐る徐に近づく。煙草を一本手に取る。
 マッチは今彼の吸っている分で最後だった。
「火、分けて……」
「どうぞ」
 短い会話。リンは彼の膝に腰掛けて胸に寄りかかればそっと支える手が彼女の腰に回る。
 流れ出した時間は心地の好いものであるが如何せんばつが悪い。謝罪と、それから弁解すべき事もあったが上手く言葉を見つけられるほど平常心でもない。
 気持ちを持ち上げるにはもう少し時間がかかりそうなのだ。
「少し、落ち着いたか?」
 煙草の火を見つめながら小さく返事をする。少しは、落ち着いた。
「これ吸ったら送るよ」
「一人で帰れる」
「女性の夜歩きは感心しない」
「でも……」
「送る」
 少し語調を強めに断言する時、パーシヴァルは絶対に譲らない。頑固なそれは昔と変わらず今も健在だった。



 ユーリに謝罪を伝えて店を出る。昼間は温かかったとはいえ夜は冷える。天気の良い日だったから余計だ。
 宙を自由に舞っていたリンの手は不意に行き場を無くす。
 そうして握られた手を彼女は咄嗟に振り払った。
 これも本日二度目だ。一度目は昼間演習場で頬に触れられそうになった時。
「大丈夫だから……」
 弁解したいのか突き放したいのかリンは自分でも良くわからない。いや、突き放そうなんて気持ちはこれっぽっちもない。だったら適当な言い訳でもしておけば良いのに結局出てくる言葉はちっとも足りていない。
「大丈夫じゃないだろう。さっきだって、」
 言いかけてパーシヴァルは言葉を飲み込む。

 さっきだって散々自分に甘えたくせにとでも言いうつもりか?

 彼は心の中で自問自答する。
「大丈夫だから」
 もう一度リンが繰り返す。しかし再びパーシヴァルは彼女の手を取った。もはや振り払うことは出来なかった。振り払う言い訳を彼女は見つけられなかった。
 頑固な彼の手は非常に冷たく、そこから伝わるものは揺れる彼の気持ちだけだ。
「俺のせいか……」
 ぽつりと呟かれたその言葉をリンは必死に聞こえない振りをした。手を握る力が強くなる。俯きがちに歩く彼女は彼の表情が見えていない。
 見上げずともわかっていた。きっと今彼は酷く苦痛な面持ちでいるのだろう。
 子供の頃苦手だった大抵の苦味は大人になるにつれて平気になった。けれど……これだけは克服できない。
 苦い想い出は苦いままで。
 前にもこんな顔を見たことがある。こういう時、リンは彼の顔を真っ直ぐに見ることが出来ない。
 重苦しい空気のままいつしか部屋の前に辿り着く。酔っていない彼は送り狼にはならない。否、きっともうそんな風になる事は無いのだ。この間のは誕生日のおまけ。
 少しだけ……縋りたい気分だったが自らその手を放す。

 ――甘えていいんだよ。いっぱい甘えたら良い。俺はいつだってお前の味方だから……。

 訳もわからないほど泣きじゃくった彼の胸の中で聞こえた言葉がいつまでも耳に残っていた。それでも甘えてしまうのはずるいと思うのだ。
 パーシヴァルの背中は淋しげに遠ざかっていった。



 そういえばこんなことが何度遭っただろう?
 大丈夫だと言って手を振り払うくせに後で泣くのは自分
 そして自分を責める
 責めるのは自分自身だけで十分だ
 彼の人が苦しまないで済むのなら
 そんなのは容易いことなのだ



 そんな自己満足を満たすしかあたしの心は満たされない。

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