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◆幻想水滸伝(パーシヴァル中心に全シリーズ)をメインとした趣味の二次創作・固定ヒロイン夢小説を扱ったブログです◆各版権元製作企業・関連会社とは一切関係ございませんが著作権は筆者さやなにあります◆
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さやな

Author:さやな
寒いと生きていけないと言いつつ
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モノ書きするくせに筆不精な自分が歯がゆい今日この頃

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幻想水滸伝3・パーシヴァル夢 【  抱 き 枕 (17)  】

休日の出来事。ホントの気持ち、そして窮地に陥る。



――髪をおろすのは見たくないものを見ないため、だけじゃない。
   見られたくないものを隠すため。
   もう隠すのも疲れた。



【  抱 き 枕 (1)  】
【  抱 き 枕 (2)  】
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【  抱 き 枕 (7)  】
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【  抱 き 枕 (14)  】【  抱 き 枕 (15)  】【  抱 き 枕 (16)  】








【  抱 き 枕 (17)  】
















 兄からの便りを一気に読み上げるとリンは盛大な溜息をついた。どうしてこう彼のことばかり聞いてくるのか。全くっていいほど自分の近況が書いていないのだ。変わらず、とことでそれは良いことだが。
 決して皆が想像しているような間柄ではない。
 とリン自身は思っていた。彼女にしてみれば彼に抱いている特別で複雑な感情も全て上手く隠し通せているつもりなのだ。
 曝けてしまえばきっと手に余ってしまう。

 皆、あたしたちに何を期待しているのだろう?
 あるわけない、今更。
 あたしはもうあの頃のように弱くもないし今は自分の足できちんと進んでいける。
 無理してまで彼に縋ろうとかそういうつもりもない。
 こんな覚悟の決まらない気持ちはきっと彼だって迷惑だ。

 自分に言い聞かせる。例えば、パーシヴァルが本当にリンの見たまま感じたままの感情を彼女に抱いているとしてもだ。あの頃と変わらぬまま自分の弱さを彼に慰められている事実は棚に上げて。

 ああいう時、嘘でも甘い言葉の一つや二つ言うものでしょう?
 ねぇ、パーシヴァルそうでしょ?

 心が無くても、空っぽの言葉でも彼からその言葉をもらったってだけで彼女は十分だった。

 多くは望まない。だってそれがあたしの望む形だから。

 もちろん空っぽなんかじゃない事はもうわかっている。わかってしまったから諦められないでいる。諦められなくなったら、こんな風に間違った方へ思い込むしか術が見つからない。



「あの!!」
 その日、リンは非番だった。いつもの薄汚れた作業着ではなくカジュアルなワンピースで彼女は歩いていた。お嬢さんと声をかけられた彼女自身は、まさかお嬢さんなんて言われる年でもないから全く自分のことだとは気づかずかない。そのまま通り過ぎようとしていたところを声をかけた青年は立ちはだかって彼女を止めた。それでやっと自分のことだと気づく。
「な、何か?」
 突然のことにリンは挙動不審に青年に問い返した。すると青年は顔を火照らしながらどぎまぎとしゃべりだした。
「あ、あの、ひと目見た時から……」
 どもり半分のそれでも懸命な青年の告白にリンは困り果てた。とりあえず、丁重にお断りを、と思うが相手もなかなか引いてくれない。見たところ青年はリンよりも幾分も若かった。唾が飛びそうな勢いであれやこれやとくどき文句を言ってくるのだけれども全く興味のない彼女はだんだん嫌気が差してくる。あぁ、でもひどい断り方をしてしまってはこの人のプライドに傷がつくだろう。そんな余計な親切まで考えてしまい一向に上手い断り文句は浮かんでこない。そもそもこういうのは得意じゃない。
 ひとめぼれ、だと彼は言った。
 元来、人見知りの激しいリンにはそういった感情は理解出来ない。そんな風に突発的に好きになった相手ならいくらでも簡単に諦めが付くのだろうかと漠然と思った。けれど今目の前で必死になっている青年は全くその気も見せないリンを前になかなか引いてくれない。そんな簡単なものではないか、と思い直す。
「リン!」
 困り果てた頃、背後から名前を呼ばれて、彼女はその声色にほっと胸をなでおろした。おそらく、後で小言を言われるのだろう。それでも彼が通りかかってくれたのはありがたい。声の主の顔を見た青年は慌てて踵を返したのは言うまでも無い。6騎士の名は伊達じゃなかった。
 隣に立ったパーシヴァルは大きな溜息をわざとらしくついてみせた。リンは居心地悪そうに肩をすくめてみたが、見上げた彼の顔には呆れたと書いてある。
「助かっちゃった。ありがとう」
「……馬鹿か、お前は」

 ……怒ってる?

 パーシヴァルの声色は酷く冷めて響いた。
 リンと同じく私服姿のパーシヴァルとしばらく無言のまま並んで歩く。休日でもばっちり彼の髪はセットしてあり、邪魔であげているのなら切ってしまえばいいのにと彼女は思った。それは彼なりのこだわりなか、何か意図があってのことなのか。結局似合っているのだから別にいいけどという結論に落ち着く。
「なんだよ」
 すっかり見つめてしまっていたのに気づく。相変わらず不機嫌そうなパーシヴァルが沈黙を破った。
「髪、伸ばしたり切ったりしないの?」
「あー、これがちょうどいいんだよ」
 そう、と短くリンは相打ちを打った。
「そう。あげとけば邪魔にならないし、見たくないものがあるときは下ろしておけば良い」
 そう言ったパーシヴァルの少し淋しそうな横顔をリンは見逃さなかった。
 見たくないものは蓋をする。
 それはホントに見たくないものなのだろうか。
 見たくないものは決して嫌なものばかりでなくて、見てしまったら自分がおかしくなってしまいそうで怖いもの。 一生懸命つなぎとめてきた枷が外れてしまう気がする。そういうものがリンにはいっぱいあった。

 パーシヴァル、あたしにとって貴方もその一つなんだよ?



 今日の休みは読書に浸ろうと思っていた。読書をするなら別に一人きりでも構わないのだが、同じく非番が重なったパーシヴァルと何となく一緒に図書館へ行く約束をしてしまった。
 彼は待ち合わせの場所になかなか現れないリンが迷子になっているのではと探しに来たのだった。



 図書館の用途は人それぞれだ。勉学や仕事の資料を漁りに来る者も居ればリンたちのように純粋に読書を楽しみに来る者も居る。そのため座席に関しても机の備え付けられたものからリラックス出来るソファーなど多岐に渡って用意されている。こういう場所なので人が賑わっていることはないがふたりは集中出来るように少し奥まった人通りの少なそうな場所に目星をつけてから本を選びにかかった。
 ある瞬間、パーシヴァルはきっちりセットしていた髪を無造作に解いた。
 合図だ。
 彼が見たくないもの、はリンと同じということ。
 背の高い本棚がたくさん並ぶ。密閉された空間ではないが人の密度は極端に低くなるため似たような感覚を覚える。気が緩まって気持ちが駄々漏れてしまうような気がするのだ。図書館の静かな空気は心地好いがその静けさがそんな錯覚を助長させる。そんな恐れからだった。
 彼女はたくさん並ぶ本の吟味を咄嗟に始めて見て見ぬ振りをした。彼女がぐっと唇をかみ締めたことに彼は気づいていない。
 掘り出し物はないかと眼を皿のようにして探す。そうしてリンは本棚の少し高いところに前から読みたかった本を見つけた。手を借りるのはなんとなく悔しくて自力で引っ張りだそうと一生懸命背伸びをする。
 本に手が届いた瞬間、リンはバランスを崩して後ろにひっくり返りそうになった。その瞬間さっと抱きかかえられたかと思うと、欲しかった本は目の前にあった。気づいたパーシヴァルが支えてくれたのだ。否、彼はずっと彼女を目で追っていたのだ。
 一気に色んな想いが交差する。がんじがらめになって体が固まる。リンを支えた腕はそのまま彼女を放すことなく、戸惑う彼女は手渡された本を強く抱きしめた。一瞬彼の腕に力が篭ったが、その後すぐに彼女は解放された。
 二人無表情のまま何事もなかったようにその場を離れ元の時間が流れ始めた。当たり前のようにぴったり隣同士、壁際に備え付けられたソファーに腰掛けて読書に耽る。
 ふと視線を感じてふたり同時に顔を上げた。資料探しで通りかかったサロメだった。お邪魔をしてしまったようですねと言った彼の顔はおかしそうに歪んでいる。その瞬間ふたりは無意識に少し不愉快そうな顔をしたのだろう。
「いや…まるでご兄弟のようだ」
 サロメはそう言うと申し訳なさそうにそそくさと去っていった。
 さっきのは間違いなく、恋人同士のようですね、と言いたかったのだろうろとふたりは思った。事実彼はふたりに気を遣って言葉を選んだ。ふたりともあの万年真面目顔に恋人同士なんて言われたら、どんな顔していいかわからない自信ある。
 そうしたらきっとまたパーシヴァルを困らす。
 リンはそう思わずにはいられなかった。



 それからふたりは夕方になるとユーリの店に夕飯を食べに行った。店を出たあと少し散歩をして、一服をして、リンは今日何事も無かったことにほっと胸をなでおろした。
 そういうときに困ったことはやってくる。
 今日読んだ本の話をしていた。一冊目は歴史書。今は亡き国の記録。二冊目は、気軽に読める恋愛小説だった。今思えばなんであんな本を彼の隣で読んだのだろうと後悔せずにはいられない。そして話は自然に恋愛の話になる。
 そんな時に発せられた彼の一言にリンは突然八方塞に陥った。
「リンは俺のこと嫌いだろう?」
 恋愛対象としては――そんなはずない。
「貴方もあたしのこと嫌いでしょう?」
 彼女も強気に聞き返す。
 恋愛対象としては。
「そんなはずないだろう」
 パーシヴァルの口から出た言葉にリンは顔をゆがめた。
 もう一度彼は問う。
「リンは俺のこと嫌い……だろう」
 語調はしおらしく、彼が本気なのがわかった。
 
 あたしは……。

「そんなはずないじゃない……」
 言ってしまった。
 見えなくて良いものを見てしまった。そうしたらきっともう後戻り出来なくなってしまう。
「もう、悲しませたりしないから」
「あたしは、またパーシヴァルを悲しませるかもしれない」
「それでも、俺は構わない」
「でも、あたしはそんなのつらい……」
 リンは無意識のうちに後ずさる。後戻り出来ないと思いながらも、思いとどまろうと必死に足掻く。しかしそんな彼女の努力はあっさりと遮られた。
 ぐっと力強い手で引き寄せられた。
「大丈夫。大丈夫だ。どんなに離れても心は離れなかっただろう。それだけでいいんだ……」
 パーシヴァルの言葉はリンの中で誰よりも何よりも説得力を持っていた。
 
 彼がそう言うのならきっと大丈夫、なのだろうか?
 確かにあたしはそれだけでいいと願った。
 あたしが望むのはそれだけなのだ。それ以上は要らない。

 髪をおろすのは見たくないものを見ないため、だけじゃない。
 見られたくないものを隠すため。
 もう隠すのも疲れた。


 
 しかしリンはそれ以上何も言えなかった。そんな簡単じゃなかった。でなければとっくにこの呪縛から解かれていたに違いない。あの時選んだ道が間違いだったとは思いたくない。でなければ不必要に彼を傷つけたことになる。そんな罪悪感を抱きながら彼と共に居ることも嫌だった。



 ねぇ、パーシヴァル?あたしはもう疲れたよ……。


 
 それがリンの本心。
 彼女にはどうしても越えられないか壁がある。














*******

読んでくださってありがとうございました!

ひとめぼれって信じますか?www
原理を考えるとわからんでもないけれど
これほどありがたくない好意はないとあたしは思います。
恋愛は所詮、思い込み、といえど、それが50%以上締めちゃうとちょっとどうかと思う。
まぁ、悪い方にばっか思い込んで自分追い詰めているヒロインに比べたら余程健全な気もしますが。

今更ですが、禁則とか無視しているので読み辛くてすいません。
今回のと第二部があるってことで結末わかっちゃった方もいるよーな気がしますが
目つぶってくださいね。
あとふたつで第一部は完結します。
宜しければ引き続きお付き合いください!
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