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◆幻想水滸伝(パーシヴァル中心に全シリーズ)をメインとした趣味の二次創作・固定ヒロイン夢小説を扱ったブログです◆各版権元製作企業・関連会社とは一切関係ございませんが著作権は筆者さやなにあります◆
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さやな

Author:さやな
寒いと生きていけないと言いつつ
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モノ書きするくせに筆不精な自分が歯がゆい今日この頃

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幻想水滸伝3・パーシヴァル夢 【  抱 き 枕 (18)  】

主人公の元に届けられた3通の手紙、ひとつの決心。



―――終わりなのか、始まりなのか。
    それはひとつの転機をもたらした。






【  抱 き 枕 (1)  】
【  抱 き 枕 (2)  】
【  抱 き 枕 (3)  】【  抱 き 枕 (4)  】【  抱 き 枕 (5)  】 【  抱 き 枕 (6)  】
【  抱 き 枕 (7)  】
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【  抱 き 枕 (14)  】【  抱 き 枕 (15)  】【  抱 き 枕 (16)  】 
【  抱 き 枕 (17)  】







【  抱 き 枕 (18)  】
















 恋するだけならば、“好きだ”というその気持ちだけで十分だった。しかしその先を望むとなればそうは行かない。だから恋愛は苦しいのだ。
 


 いつだか酒の席でのことだ。酔っ払ったクリスに恋愛話をせがまれた彼が言い訳に使ったその言葉が胸に突き刺さった。リンのことだと言った訳ではない。クリスを巻くためだけに言った適当な言葉だったはずが、その直後、目が合いそうになるとパーシヴァルは咄嗟に目を逸らした。そのせいで余計に、リンの中で彼のその言葉が印象的に残ってしまった。
 彼女は思うのだ。恋愛するなら楽しいほうが良いに決まってる。苦しんでぼろぼろになりながら一緒に居るうちはまだいい。そうしてそのうち限界が来て朽ちてしまったら、そのほうが悲しい。
 ならば、想っているだけのほうが余程良い。想うだけなら自由だ。
 
 

 あの晩、リンは結局直接的な言葉で気持ちを返すことが出来なかった。
 二人の距離は縮まることもなく離れることもなく、それまでとまったく同じような関係が続いて暫く経った頃だった。



 終わりなのか、始まりなのか。それはひとつの転機をもたらした。






 夕方仕事を終えたリンは買出しに出ていた。大きな紙袋を抱え、てくてく歩いているところに頭上から声が降ってくる。見上げようとしたが紙袋が邪魔をした。わっ!と声を挙げた瞬間、体勢を崩して危うく転びそうになったところを後ろから首根っこを掴まれた。
「ありがとう」
「ほら貸せ」
「大丈夫だよ」
「紙袋が勝手に歩いてるみたいで気味悪い」
 そのままパーシヴァルは有無も言わせぬ勢いで自分の小脇に抱えていた包みとリンの紙袋を交換した。
「頼んで置いた本が入荷したから取りに行っていたんだ」
「そう。あたしは買出し。見たまんまね」
 言ってくれれば手伝ったのに、そう言われてリンは苦笑いを浮かべた。こういう時困る。きっと少し前までも、彼は同じことを言ったのだろう。しかし今はそれが少し違うように聞こえるのだ。
 
 あたしたちの関係は何なのだろう?
 
 よくわからなかった。何より曖昧にしたのはリン自身なのだ。
 そういえば、と彼女は思った。違和感を感じる。
 街を歩いているとパーシヴァルは良く女の人に声をかけられる。ところが最近はそういうことがめっきり減っていた。焼きもちを焼く必要がなくなったので良かったといえばそれまでなのだが何か変な気分である。そういえば。クリスやボルスが何か言っていたではないか。
「どうした」
 リンは余程変な顔をしていたのだろう。不思議に思ったパーシヴァルは急に立ち止まった。
「うん?うん、なんでもないよ」
 とは言ったものの――気になるならば聞いてしまえば良い。
「ねぇねぇパーシヴァル?この間のクリスじゃないけどパーシヴァルってもてるでしょ?その……」
 唐突な質問にまず彼は眉をへの字に曲げた。そしてリンが言葉を濁すと一気に不機嫌な表情になる。が、答える気はあるらしい。
「ない。面倒くさい」
 はっきりきっぱり彼はそう告げた。
「ふーん。面倒くさいものなんだ」
 自分から尋ねたくせにどうでもよさそうに適当な言葉を選んで返した。
「遊びと割り切ってる相手となら楽で良いがそうじゃなけりゃ大変なだけだ。そんな労力本気のやつ以外に使いたくないね」
「うーん、でもねぇ?いきなり掌返したように冷たくされたら女の子かわいそうだよ?」
 違和感の正体はそれだった。クリスやボルスがあのフェミニストがっ!と手振り身振りで大事件のように語ってみせたのはもう随分前の事だ。
「そこまで冷たくあしらってるつもりもないが」
 そう言うとパーシヴァルは話題を引き上げるようにすたすたと早歩きになる。どうやら完璧に機嫌を損ねてしまったようだった。
 
 そうなの?そうかなぁ……。
 なんとなく彼らしくない。

 そんな風に思ってしまうのは買いかぶり過ぎなのだろうか。小走りでパーシヴァルの背中を追いかけながらも未だに納得はいかない。



 ポストの前を通りかかった時だった。少し先の花屋から華やかな花束を抱えた女性が店から出て来るところに出くわした。遠目にもなんとなく追ってしまうような花束が似合う美人だった。
「パーシヴァル!」
 その女性はぱっと笑顔を浮かべると彼の名前を呼んだ。彼に向かって手を振っている。気づいた彼はすぐに彼女のほうへ寄っていった。リンがその後ろを追いかける。
「やあ、ラグ。久しぶりだな」
 親しそうにラグという女性に声をかけるパーシヴァルの背中にリンは居心地悪そうに隠れた。先ほどの会話を思い出す。勘繰らずには居られなかった。真正面から見る勇気がなくて横目にちらちらと観察する。歳は、たぶん自分たちよりいくらか上だ。化粧はしていない。日に焼けた肌が健康的なのにどこか艶めかしい魅力を持った女性。
 あら、とリンに気づいたラグが彼女のほうを覗き込んだ。物怖じしていたのに、柔らかい笑顔でこんにちはと言われるとリンも釣られて笑顔になる。
「随分可愛らしいお嬢さん連れてるのね」
「あぁ、こいつは幼馴染なんだ」
 パーシヴァルは“恋人”と言わなかった。それはそれで少し寂しい。ラグと目が合った。そんな自分の心境を悟られた気がしてリンはたじろいだ。
「ふーん。じゃあ、彼女と一緒にいらっしゃいな。明後日歌うから」
 こういう時は自分の引っ込み思案が大活躍する。ラグに直接聞く勇気がなくてリンはパーシヴァルの服をひっぱった。
「あぁ、彼女は旅回りの歌手なんだ。年に何回かこっちに寄るとユーリの店で歌うんだよ」
「わぁ~!すてき!!」
 あっさりと食いついたリンにパーシヴァルは呆れた様に笑った。ラグはその様子を微笑ましそうに眺めている。
「興味持ってくれた?」
「はい。楽しみにしてます」
 数秒前まで人見知りしていたとは思えない人懐こい笑顔でリンが答えた。その横でパーシヴァルが苦笑いを浮かべているのを見つけてラグは噴出しそうになる。
「それにしても久しぶりだな」
「そうなのよね。色々足止めくらちゃって」






「あれ?随分早いね。ひとりなの?」
「うん。パーシヴァルはまだお仕事だと思う」
 それはまだ酒を飲むには少し早い時間だった。店に入るとカウンターの脇に置かれた花瓶がまず目に入る。活けてある花は先日、ラグが抱えていたものだ。
 ラグが歌うと言っていた日、リンは仕事が早く済むとそのままユーリの店に赴いた。それには少し理由があった。ただの感だが、これがなかなか馬鹿に出来ない。
 カウンターに席を取り、ユーリと少し話しをしていると奥からラグが現れた。先日街で会ったときとは違い、華やかな化粧が施されている。
「こんばんは」
「こんばんは」
 挨拶すると彼女はリンの隣に腰を下ろした。それから頬杖を付いて暫くリンを見つめていると少し表情を変えた。“仕事”の顔だ、とリンは思った。
「ねぇ、貴方がリン?」
 そう尋ねて来たラグにリンもすぐに合点が行く。やはり。彼女は恐らく“運び屋”だ。
「はい。もしかして貴方は……」
 皆まで言わないうちにラグは可笑しそうに笑い出した。
「ちっちゃいとは聞いてたのよねぇ。でも、てっきり少年みたいな女の子想像してた」
「ふふふっ、どなたからの噂かしら?」
 顔を見合わせて笑い合う。
「はい、これ。確かに渡したわよ」
 ラグが差し出したのは3通の手紙だった。
「……ありがとう」
 そう言うとすぐにリンは封を解きだした。その手元を見ながらラグが言う。
「それにしても随分厳重にしてあるのね」
 その手紙は3通とも特殊な術で封をしてあった。掛けられていた術は三者三様だが封を解く順序を間違えればどれも中身は消滅してしまう。それなのにリンといえば一瞬でその方法を見抜いて軽がると封を開けてしまっている。封筒には送り主の刻印はなかったのにだ。これは目を瞠らずにはいられない。
「あら、まだこれなら序の口ですよ」
 序の口なわけがない。そもそも、簡単には中身が見れないように術がかけてあるわけで。暗号のようなものだ。遣り取りする相手が互いにわかっていることが前提である。
 それ程厳重に封をされた手紙ならば、内容は大層重要なことが書かれているのだろう。しかしリンはそんな素振りもなく手紙に目を通していく。ラグは違和感を覚えずにはいられなかった。
「それにしても。まさかパーシヴァルの大切な娘がそうだったなんてね」
 言わずにはいられなかった。パーシヴァルが気の毒だ。手紙は全てラグが直接依頼主から預かって来たものだった。依頼主は全員こんな風にラグとリンがつながるとは思ってもいなかっただろうが、全く嫌な役目をさせられた……。そう思わずにはいられない。
 依頼主からして、少なくともパーシヴァルには良くない知らせに違いないことは容易く想像が付く。
 リンは手紙から顔を上げラグを見ると目をぱちくりさせた。
「パーシィには内緒にしてください、ね?お願い」
 彼女がそう言うまでには数秒の間があり、ラグにはそれが随分長いように感じた。
 いくつか会話を交わしているうちにリンは既に3通とも目を通し終えていた。
 そうしてすぐに立ち上がりユーリに声をかけた。
「……あたしちょっと行くとこ出来ちゃった。ラグさんが歌う時間までにはまた来るからっ」
 店の出口に向かうと入れ替わりに入って来たのはパーシヴァルだ。急いで立ち去ろうとしているリンに不思議そうに声をかけた。
「あ、ちょっと用事忘れてたの。また後でねっ」
 そう言って出て行ったリンは急いではいたが深刻そうな様子はひとつもなかった。まるで軽い足取りだ。彼もそのまま何も気にせずカウンターへ向かった。



「あんた、ちゃんと首輪付けとかないとああいう娘は直ぐにどっか行っちゃうわよ?」
 ラグは横目でパーシヴァルを睨み付けた。彼女はえらく機嫌が悪そうだった。いきなりそんなことを言われても意味がわからないし、そもそもなんでリンのことでラグに怒られなければならないのかわからない。
「なんだよ、いきなり」
 苛立たしく聞き返すと、ラグはもう立ち上がった後で再び奥へ引っ込もうとしていた。
「あたしはちゃんと忠告したからね~」
 店の奥から声だけが聞こえてくる。不機嫌そうになってしまったのは怒っているのではなく、悪事の片棒でも担がされた気分でラグはただ罰が悪かった。
「だから何なんだ」
「さぁ?」
 残されたパーシヴァルとユーリはわけもわからずに首を傾げた。
 


 その後リンは言った通り店に戻りラグの歌を堪能した。彼女はその日、終始ご機嫌だった。だからパーシヴァルはこれっぽっちも彼女の変化に気づかなかった。
 次の日、彼は任務のためビネデルゼクセ向かった。そのまま一週間近く滞在することになったが、ブラス城に戻ったときリンの姿はどこにもなくなっていた。















*******

読んでくださってありがとうございます。


よろしければ引き続きお付き合いください!
と、後書きは今回すっ飛ばして最後のお話へどうぞ~。



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