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◆幻想水滸伝(パーシヴァル中心に全シリーズ)をメインとした趣味の二次創作・固定ヒロイン夢小説を扱ったブログです◆各版権元製作企業・関連会社とは一切関係ございませんが著作権は筆者さやなにあります◆
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さやな

Author:さやな
寒いと生きていけないと言いつつ
我が家は恐ろしく寒い
ということは実は寒さに強いのかもしれません

モノ書きするくせに筆不精な自分が歯がゆい今日この頃

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幻想水滸伝・2主 【 マ ツ リ 】

?主のお話です。

ヒロイン的なオリキャラが登場しますが夢要素はあんまりありません。






砦の入り口に倒れていたのは音信不通になっていた姉のような存在の人。
目を覚ますことなく眠り続ける彼女にナナミの姿が重なる。



――僕はひとつだけ賭けをしてみることにした
   もし、マツリの笑顔がまた見れたなら
   僕はきっとこれからも上手く生きていける気がした
   居なくなってしまったあの娘の分もきっと笑っていてください








【 マツリ 】


 












 
 この国のどこかで君が愛する者の隣で笑い続けていることを僕は祈る。
 もう二度と僕と君が出会えることはないだろうけれど、僕はいつだって君の幸せを祈っています。君がそう僕のために願ってくれたように――。
今でも思い出せば静かに明るく賑わいで、僕の悲しみを埋めてくれる。そんなかけがえの無い君の笑顔がずっと続きますように。
 居なくなってしまったあの娘の分もきっと笑っていてください。

 

 お~い!と遠くの方から元気な声が聞こえる。この砦はそこかしこでそんな元気な声が飛び交う。そんな賑やかな喧騒をBGMにいつだって僕の新しい1日が始まった。
 お~い!遠くから僕を呼ぶその声は止む事なく僕は急いで声の元に走った。
 城門を目の前にすると慌てふためく門番が居た。そしてその足元にはひとりの少女が力無く蹲っていた。満身創痍なのは一目見ただけで確認できた。肩を震わせて必死に息をするその少女は俯いていて表情までは見えない。どうにか宙に突き出した手に何か紙切れを握り締めていたが直ぐにその手は地に落ちた。
「……マツリ」
 その少女の姿が見知った誰かと重なって僕はぽつりと呟いた。
 マツリというのはどこからかやってきていつの間にか居なくなってしまった一時期僕の家族だった人。
傷だらけで家の前に倒れこんでいて、遊びにやってきたジョウイが一番最初に彼女を見つけた。この門番のように慌てふためいて家の中に飛び込んできたジョウイに連れられてその人の元に駆けつけた僕もナナミもじいちゃんもその憔悴しきった姿に目を瞠った。マツリと名乗った彼女はそれから暫くの間僕たちと一緒に暮らした。元々血のつながりの無い家族だったから、やはり血の繋がらないマツリが加わったところで本当の家族がひとり増えたような喜びがあった。
 マツリはある日突然僕たちのに別れを告げていなくなった。行き先は僕たちも知らない。ただ、時折マツリから仕送りが届くようになった。その頃、じいちゃんは病に伏せがちになっていて家計も圧迫していた僕たちはありがたくじいちゃんの治療費へとその仕送りを当てた。あのマツリの仕送りがなかったら……じいちゃんはもっと早く亡くなっていたかもしれない。そう考えると僕はマツリに感謝してもし切れない。
 力のある者が捕まると彼らの頼んで少女を医務室へと運んでもらった。様子が気になったが僕はシュウさんに呼ばれていたので仕方なく広間へと向かった。
 去り際にちらりと見えた少女の横顔はやはりマツリを思い出させた。とても、彼女に似ていた。
 軍議を終えて多少の雑用を終えて手が空くと僕は医務室に向かった。あの少女が気になって仕方なかったからだ。
 僕が医務室に入ると既にそこにはシュウさんの姿があった。少し険のある表情で少女を見つめていた。
 ベッドで眠る少女を見遣ると、間違いない、やっぱり彼女はマツリだ。
 正確にはマツリは少女などという歳ではなく、れっきとした大人の女の人なのだけれど、
とても童顔で村に居た頃も黙っていれば良く子供と間違われていた。そいういう僕も当初、彼女は自分よりいくらか歳上くらいだと勘違いしていた。同年代だと思っていたマツリの落ち着きに感心して、そして自分を省みて落ち込んだ覚えがある。
「……この者をご存知ですよね?」
 シュウさんの問いは確認のようだった。どうしてシュウさんは彼女と僕が知り合いである事を知っているのだろうか?
僕はこくりと頷いたけれど、それをどういう風に説明したら良いのか良くわからなかった。
 恩人?家族?……僕の初恋の人。



 彼女はいつまで経っても目を覚まさなかった。
 何やら思案をしつつシュウさんはその場を立ち去らない。
「この女はいつもこれだ……」
 呆れているのか心配しているのか良くわからない声色で呟いた彼を僕はちらりと見遣った。
 目が合った。
 独り言だと思っていたけれど、どうやら違ったようだ。僕は同意を求められている。そんな目が向けられていた。
 シュウさんがマツリと知り合いだということは察しが付いていたけれど、どんな知り合いなのかを僕は知らない。
 人間というのは多面性の固まりだ。いや、元を正せば全て出所は同じなわけで固まりというのはおかしいのかもしれないけれど、それを判断するのは他でもない自分以外の傍目であって別人のように見える事だってある。僕という人間が今まさにその典型だと思う。  
そんな僕だから余計に気になる。
 僕の知っているマツリは僕だけのものでシュウさんの知るマツリは僕の知らない人のような気がしてならない。同じだけど違う。僕はそうあって欲しいんだ。
 それは決して独占欲とか嫉妬心などからではない。
 僕の知るマツリは唯、そういう人だった。それだけ。
 彼女と過ごした時間は精神的にも物質的にも僕に色々なものをもたらした。どこから来たのかもわからない彼女はあっという間に僕らの生活に混じった。マツリが馴染んだのだ。それは彼女の一方的な変化――ではなく元々彼女が持ち合わせていた一面に過ぎない――であって僕らは何ひとつ変わっていなかったような気がする。彼女は馴染むのが上手だった。あんなに僕たちの事を煙たがってた街のみんなも彼女へだけは一切隔たりなかった。
 街の中にいる時のマツリはやはり僕の知っているはずのマツリと何処かが違った。
 僕にはそれが衝撃だった。そうして僕はそれから少しだけ大人になった。街の人も僕らを悪く言う人は少しだけ少なくなっていった。
 僕が戦場で大将の顔をしていられるのもナナミの前でいつだって笑っていられたのも少し歳の上な友人たちの前で素のまま甘えられるのも、全部あの頃マツリから学んだ。ナナミがあんな風に屈託無い性格だったその反動だろうか、僕はそれまで何処か頑なだったと思う。
 色んな僕、その全部含めて僕のようにきっとマツリはもっともっと多くの側面を持っている気がする。
 その根底にあるものについて同意を求められれば僕はただ頷くだけだけれど、僕にはそういうことなのかわからない。
 安易にシュウさんの言葉に頷いて、もし次に僕の知らないマツリの一面を語られたら。
 僕はきっとがっかりする。
「リオウ殿?」
 暫く僕は考え込んでいたようだ。我に返ってみると訝しげにシュウさんが眉を顰めていた。
「……マツリと、知り合いなんですよね?」
 必死に僕は言葉の刺を隠したつもりだったけれど、シュウさんにはわかってしまうだろう。せめて、僕がマツリに抱いていた淡い気持ちだけは隠せたと思いたい。
 あれは、不確か過ぎて自分自身で持て余してしまうような不確かで不安定で曖昧で奇妙な気持ちだったから。それから先何が起こるのかなど全く予想などせずに突っ走ることすら思いつかなかった情けない自分に今更悔いるようにひた隠したい思い出。それまで抱いたことのなかったあの想いは全くの未知であり自分自身で正体を明かすことも出来なければ人を頼るための良い言葉も見つからなくてひたすら不確かだった。
 今はもうちゃんとわかる。好きの違い。
 それに気づけない内にハイランドを追われた僕はマツリと音信不通になり消化できないままそれは違う形となって今でも僕の中で燻り続けている。誰にも言わない。誰にも言えない。死んでも明かすものか。
 シュウさんの表情が少し動いた気がした。それから彼はいつの間にか彼にしては珍しく優しげな顔をしていた。
「彼女はうちの使用人でした。腕も立てば頭も切れるので随分色々な面で役に立ってくれましたから、彼女だけは暇を出さずにこちらに連れてくる予定だったのですがあっさり断られました。家族のような存在であるあなたを傍で支えてあげたい気持ちはあれどそれだけはどうしても出来ない事情があるから、あなた方のことを宜しく頼むと最後に頭を下げられました」
 恐れていたことは簡単に打ち砕かれて僕は安堵した。シュウさんの語るマツリの中に僕が存在した、それだけで。
 けれど、どうして……――。
「どうして……出来ないって……」
「……ハイランドに愛する者がいるそうです」
 シュウさんのその言葉に僕は冷や水を浴びせられたような気分になった。
「王国軍とは戦えない。あの人の傍から離れるという選択肢を選んだ時点で十分裏切りだったかもしれないけれど、剣を向ける事だけは絶対に自分には出来ない――と言ってましたよ」
 あの人とはいったい誰のことだろう?
 あの人とはいったいどんな人だろう?
 冷静な頭が純粋な興味本位でそう思った。
 もしかしたら。傷だらけで憔悴しきった目の前のマツリとあの時のマツリは、その人のために傷だらけになってしまったのだろうか?もし、そうだとしたら――僕はそれほどまでのマツリの覚悟にぞくりとした。
 ナナミ……。逝ってしまった姉の姿と重なった。
 きっとそんな覚悟をその人は喜ばない。僕のように。僕が悲しんだり悔やんだりしたように。守って欲しかったんじゃなてく守ってあげたかっただけなのに。ただ傍に在ってくれればそれだけでよかったのに。どんな我が侭も理不尽な言動も味音痴な料理もあの笑顔で帳消しになるのに。
 泣いてはいけない。
 泣いてはいけないんだ。僕だけじゃないのだから。
 今医務室には目を覚まさないマツリとシュウさんと、少し離れたところに机に向かって書き仕事をしているホウアン医師だけだ。
 でも僕はここで泣いてはいけない、気がした。
 書簡を手にしたシュウさんは節目がちに僕を一瞥すると無言のまま医務室を出て行った。
 その間僕はじっと床を見つめた。眠るマツリはどれだけ見つめていても何も喋らないから嫌な臆測ばかりが先走る。
 少し経ってからかたりと椅子の引かれる音がした。
「少し外しますね」
 そう静かに言うとホウアン医師は傍の小机に香りの良いお茶を置いて行った。
 その香りがとても落ち着いた。落ち着いてしまった僕は気が抜けて、ぱたんと扉が閉まると共にぱたんと膝から床に落ちた。



 それから僕は必死に考えた。
 もしこのままマツリが目を覚まさなかったら――。
 そう考えるとどうにかなってしまいそうだった。
 夜ベッドに潜り込んでいる時の僕はその時だけは一切、盟主である必要がなくて、ただの弱い子供に戻る。戦禍が僕から奪ったものへ想いを馳せると僕が奪ってしまっただろう誰かの平穏が過ぎる。怖くて苦しくて震えそうになった。
 この戦争がもう直ぐ終わって故郷もこの国も平和になっても僕はぽっかり空いた心の穴をどうやって埋めたら良いのかわからない。ずっと前からひたすら考えていたのに未だ良い解答は見つからない。
 だから僕はひとつだけ賭けをしてみることにした。
 もし、マツリの笑顔がまた見れたなら僕はきっとこれからも上手く生きていける気がした。
 マツリが亡くなってしまったら今度こそ本当に絶望してしまう。
 僕の短い人生を占めているものなんて高が知れている。キャロの街で過ごしたあの日々が殆んど総べてた。都市同盟で過ごした時間はもちろん大切で尊いものだし、ここで出会ったかけがえの無い友人も居る。それでもそれだけじゃ代わりにすらならない。ここで僕は大切なものをたくさん得たけれど同じくらいたくさん失ったから。
 マツリの笑顔が見れなくなったら、自分にはもう何も残っているものがないことを認めなければいけなくなる。
 紋章が疼くたびに悲しい事ばかりを思い出さなければならなくなる。
 僕の覚悟はもう当に決まっていた。
 ナナミの頑固に負けないくらい本当は僕ももの凄く頑固なんだから。
 ナナミが泣くのはいだって全部僕のせいだから、僕はみんなが笑える未来を心に決めた。
泣いたナナミが笑えるように。
 浅はかだったんだ。笑わなくなってしまう時が来るなんて――微塵も思っていなかったのだから。
 きっと誰も傷つかない未来なんて無理だから、せめてひとりでも多くの人が笑える未来が来れば良い。笑えなくなってしまったナナミの分も誰かが笑ってくれれば良い。
 その誰かが、今はマツリのような気がした。
 マツリは未だ昏々と眠り続けている。彼女がいつ目を覚ますかはホウアン医師にもわからないそうだ。だた眠っているだけだから心配はないと言っていた。



 僕のことを軍主殿と呼ぶ人もリーダーと呼ぶ人もこの城には居ない。ナナミが笑ってリオウと呼んでくれたように誰もが僕の名前を呼んでくれる。だから僕はどんな僕に出会ってももはや驚かないし、こんな自分もいたのかと納得する。
 戦争が終わる少し前にシュウさんはマツリが城門で握り締めていた書簡を僕に見せてくれた。マツリはどこまでもマツリで僕の知らないマツリの姿が詰まったその手紙を読んでも僕は結局なにひとつ落ち込むことはなかった。
 そこにはひとつだけ、マツリのお願いが書いてあった。
 僕は軍主の顔でとても個人的な我が侭をひとつだけ押し通した。
 渋りながらもシュウさんは快くその我が侭を聞き入れてくれたから、きっと目を覚ましたらマツリは笑ってくれる。
 僕は今更、初めて不思議に思ったことがあった。
 どうしてマツリはこんなに僕らに親身になってくれるのだろうか?結局わからないままだ。僕は目を覚ましたマツリに会うことは叶わなかった。マツリの手紙を読んだその日、僕は約束を果たすために砦を後にしたからだ。
 砦を出る前に医務室を覗いた。眠ったままのマツリの手を握り締めるマツリの大切な人の背中を見て確信した。もう大丈夫だ。マツリは必ず目を覚ます。だからもう、僕も大丈夫。
 あの頃、無知な僕がマツリからたくさんのことを学んだようにあの砦であの戦争でたくさんの人から僕は色々なことを学んだ。これからも僕はそうやって学び続けて成長していく。たぶんきっとそうやって立派な王様にもなれる気がする。
 でも、僕は大切なものをいくつも失ってしまったからあそこには戻れない。それはあそこに居続けても永劫に取り戻せないことを何となく僕は知っている。どうやっても取り戻せないものを僕は失くしてしまって、だからまた新しく僕は探さなければならなかった。それにはあそこは狭すぎる。
 僕の旅は始まったばかりで終わりはきっと遥か遥か先にある。
 長い旅路の中でひとつくらいは何か何処かで見つかるような気がするんだ。














 
*******

読んでくださってありがとうございました!

思春期の男の子のお話を書きたくて仕方なくて書いたお話でした。
あと最近私小説なるものを幾つか読んだ影響で久々に一人称を使いました。
一人称って内面的な部分を語りやすいので大好きなのですが難しい。。。
動きがあったり大人数いる場面はどうしても上手く書けないので風呂敷はなるべく広げずに済ませてしまいました。
久々の更新なのにいきなり2主とかですいません。
そして誰か教えて下さい。いつのまにグッドエンドが正史になっていたのか。。。これ書いた後に【抱き枕】のために“まるごと~”あたりの年表見てて初めて(今更?)気づきました。
ナナミごめんね。

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