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◆幻想水滸伝(パーシヴァル中心に全シリーズ)をメインとした趣味の二次創作・固定ヒロイン夢小説を扱ったブログです◆各版権元製作企業・関連会社とは一切関係ございませんが著作権は筆者さやなにあります◆
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さやな

Author:さやな
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幻想水滸伝3 【 暁に向けて――パーシヴァルver. 】

祝賀会での一コマを切り取ったSSです。一応パークリ前提で。



 ――場所であったり時間であったり環境であったり、気持ちだったり。
    移り行く瞬間、苛まれる意味の無い憂い。










【 暁に向けて――パーシヴァルver. 】
















 どうせ日が昇ればいつもの通り、全て元通りになるのだ。
 ならば今宵くらい――。

 祭りの夜は眠る事を知らぬ。夜を通して全てを忘れて踊り唄え!

 そうして迎えた朝は酷く閑散としていて現実を取り戻す。
 その静けさは嫌に感傷を掻き立てるから祭りは嫌いだ。
 なのに今日に限っては、こんなに浮かれた自分がいるから。
 やっぱり祭りは嫌いだ。



 もはやこの城ではお馴染みの大道芸人たちが奏でる音色に皆が故郷へ想いを馳せてこの短い一時の生活を振り返りながら酒を片手に肩を揺らした。次第に向上した気分そのままに踊り出す。
 ふと、先ほどまでは聴こえていなかった楽器の音が混じる。
 あたかもその音は最初からそこに乗っていたように音色を奏でる。
 そんな新しい音が次々と増えて行き、ここに民族を超えた一大セッションが誕生した。
 聴いたことのあるような、でもまるで初めて聴くようなその音楽に身を委ねて――祭りは更なる盛り上がりを見せている。



 非日常を繰り返した挙句のこの非日常的な時間に酔いしれるのは簡単だった。
 明日になればまた戦後処理に終われ、散り散りにこの城を去り始め、そうして自分たちも直ぐに自分の根城へと帰る。そうしてそのうち――その根城も自分の帰る場所ではなくなる日が訪れるのかもしれない。
 そんなことを儚く思い浮かべてしまうと余計に高揚感が誘われた。
 そう言えば、旅なれた誰かが言っていた。
 ――時々、長くひと所に居すぎると少しだけ心が弱る。
 その時には良くわからなかった気持ちだったが、今だけは何となくわかる気がする。
 場所であったり時間であったり環境であったり、気持ちだったり。
 移り行く瞬間、苛まれる意味の無い憂い。



 こつんと頭を小突かれて咄嗟に顔を顰めると、そこには上機嫌な仲間たちが居た。
「お前は!こんな時まで何を難しい顔してるんだか」
「貴方と違って繊細なんですよ、俺は」
 図々しいパーシヴァルの言い分にレオは、繊細が聞いて呆れるとぼやいた。
 するとボルスがほら見ろと遠くを指差して可笑しそうに肩を震わせた。その先には珍しく上機嫌に顔を綻ばしているサロメの姿があり、3人は顔を見合わせて笑いあった。
「そもそも、俺はこういうのあんまり特意じゃないんですよ」
 そうパーシヴァルが言うとボルスが首を傾げた。
「お前、騒ぐの好きだろうが」
「騒ぐのは好きだが、規模によるんだよ。お前らと飲んで騒ぐのとは訳が違うのさ」
 するとレオが突然、前言撤回だと言い出した。
「一応、繊細なところもあるんだな、お前にも」
「何です?その刺のある言い方は」
「意外だっただけだ。他意はない」
 そんな遣り取りの余所、ボルスはひとり笑いそうになった。レオのそれが照れ隠しだとわかってしまったのだ。パーシヴァルの祭りが嫌いな理由は良くわからないが、たぶん彼は気づいて共感してしまったのだ。
「こういう一時的な高揚感って、あとになるとその反動でやたらと物悲しくなったり……しません?」
 そう言いながらもパーシヴァルの表情は随分楽しそうだったのをボルスは見てしまった。
やっぱり良くわからない、と思ったままを口に出すとパーシヴァルとレオは随分生ぬるい笑顔で自分を見ていた。
「お前にはわかって欲しくないよ」
 パーシヴァルがそう言えば、レオがこう言う。
「お前は普段から緩急激しいからな」
 明らかに馬鹿にされているのはわかっていたが、いつものように剥きになってたまるか。今日は祭りだ。するとボルスは勝ち誇ったように笑い出した。



 祭りは嫌いだ。が、たまにはこういうのも良いかもしれない。
 どうせどんなに感傷に浸ったところで朝になれば嫌でも日常が迫ってくるのだ。
 


「ご機嫌だな、パーシヴァル」
「そちらこそ、クリス様」
 そう囁きあって互いに手を取った。踊りの輪の中へ駈けて行く二人の背後から悔しそうなボルスの叫び声が飛ぶ。
「ボルスには悪いが、私は踊るならお前の方が良い」
 クリスのその言葉に一瞬パーシヴァルはあっけに取られたが、次のクリスの言葉に納得して噴出した。
「あいつ、足踏みそうじゃないか」
 緊張してガチガチになりながらクリスの手を取るボルスを想像してパーシヴァルは大いに笑った。
「その点、お前は卒なくリードしてくれるから。下手な私でも楽しめる」
 きっと他意はないのだろう。それでも更に自分が上機嫌になっていることにパーシヴァルは気づいた。



 あんなに笑ったのは久しぶりだったかもしれないな。
 すっかり秋色になった空を見上げてパーシヴァルは思った。イクセの村は刈り入れ時、豊穣祭の準備で慌ただしい季節となった。
 あれからもう一年も経った。いや、一年しか経ってないのが不思議なくらい長かった一年。
 あの時、手を離す寸前にクリスが言った言葉が浮かび上がる。
「お前の帰る場所があることを忘れるなよ」
 何も話していなかったはずなのに、こうなる事を知っていたかのような一言にどきりとした。どきりとしつつ、まるで全て言い当てられたような気がして嬉しくなった。
 あの時立てた誓いのように、剣を捨てる気など毛頭ないのだ。
 


 あの晩の高揚感は未だ胸のうちに燻っている。その後に訪れる喪失感もまた然り。そうして自分の人生は続いていくのだなぁとパーシヴァルは漠然と思った。















*******

読んでくださってありがとうございました!

勢いだけで書いたらちゃんとSS的長さに納まりました。やればちゃんと短くなるのね、あたしも。
……なんて、偶然です。
秋です。豊穣祭です。といいつつ祝賀会のお話でした。
他バージョンもそのうち書きます。
祝賀会の話がずっと書きたいと思ってました。英雄戦争の総括的な。これを取っ掛かりに出来たらいいなあと思ってのパーシヴァルver.でした。

英雄戦争は終わったけれど、まだまだゼクセンとグラスランドの関係はこれから――ということで“暁に向けて”(今回は完全にその辺スルーですが)。
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