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◆幻想水滸伝(パーシヴァル中心に全シリーズ)をメインとした趣味の二次創作・固定ヒロイン夢小説を扱ったブログです◆各版権元製作企業・関連会社とは一切関係ございませんが著作権は筆者さやなにあります◆
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さやな

Author:さやな
寒いと生きていけないと言いつつ
我が家は恐ろしく寒い
ということは実は寒さに強いのかもしれません

モノ書きするくせに筆不精な自分が歯がゆい今日この頃

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自分からなかなか入っていけない臆病者。。。


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幻想水滸伝3 【 暁に向けて――ボルスver. 】

お坊ちゃんの癖に口が悪くて乗せられ易い直情型烈火の騎士。
なんだかんだでみんなに愛されてます。







 【 暁に向けて――ボルスver. 】



























どうせ日が昇ればいつもの通り、全て元通りになるのだ。
 ならば今宵くらい――。

 祭りの夜は眠る事を知らぬ。夜を通して全てを忘れて踊り唄え!

 そうして朝を迎えれば全てがいつも通りに動き出す。
前の晩に沸き立った高揚感が鎮まり切らないくせにいつもと同じに身体は動く。
まるでちぐはぐな自分に戸惑うのもまた一興。
単純だ単純だと常日頃から言われ続けている自分はやっぱりこういう賑やかな行事は単純に楽しくて大好きだ。
単純で何が悪い!



飲みすぎて空回るなよ。
パーシヴァルからそう忠告を受けたボルスは自分が大雑把な酒に滅法弱いことは自覚がある。しかし不思議と今日は酔いが回らなかった。この高揚感は正しく酒のものではなくて祭りのせいだ。そもそも、彼が酔って空回るのは落ち込んでいる時に限られる。今の彼は、すっきりとした気分で満ちていた。
この光景を目に焼き付けておこう。
この光景が単純な自分への自戒となり続けるように。
最高に気持ちの良い夜だった。やっぱり酒は気持ち良く飲みたいものだ。
この古城に来て随分聞きなれた賑やかな民族音楽は賑やかなのに何処か哀愁がある。音は益々賑やかになって行くのに心地良く身に沁みこんで来る。誰もがそれに酔いしれてそれぞれ遠いどこかに想いを馳せながら、しかしそれは確かに共有されていて、今自分がここに居るという実感が篭もる。
後ろめたい思いが何一つ消えたわけではない。それは消してはいけないものだ。それでも、受け入れられているという事実が彼は頼もしかった。
自分の世界は至極狭かった。知る必要もなければそんな機会も今までなかった。単純だとしきりに周囲から評される自分が如何に頭が固かったかも思い知った。真っ直ぐにひととこだけを目指して突き進んできた最中に間違いがあるなど到底想像していなかった。
単純な彼は白黒はっきり付けたがる節がある。そこに根っからの直情型気質が加わるから性質が悪い。済んでしまえばどんなこともけろっと忘れて後に引かないのは唯一の救いであるが、そうもいかない時もある。眠れぬ夜を幾度過ごしたかもうわからない。
乾杯!ともう何度目か解からぬほどコップをぶつけ合う。相手は一気に飲み干すとにやにやとボルスを見遣った。
「珍しいこともあるもんだな。貴様がこれだけ飲んで酔っ払わないとは」
 豪快なリザードの勇士、シバは面白がってすぐボルスに彼の苦手な酒ばかり飲ます。単純なボルスは売り言葉に買い言葉で剥きになって飲み干して行く。出来上がるのは時間の問題だ。酒場にしてみれば迷惑甚だしいが、元々血の気の多い酒飲みたちは面白くて仕方ない。一度やり過ぎて翌朝皆で後片付けをする羽目になったことがあった。誰のせいだとか些細なことは気にしない。楽しんだツケはきっちり果たすこと前提の馬鹿騒ぎなのだ。育ちの良いボルスは意外にもそんな馬鹿騒ぎが嫌いではなかった。
「俺だって不思議だがちっとも平気だ」
「そりゃ何よりだ!」
 そうして豪快に笑うと空いたボルスのジョッキに酒を注ぎ足した。釣られてボルスは一気に飲み干す。
「……なあ、これは本当に酒なのか」
「……そのはずだが」
 いい加減酔いの回らぬことを疑わしく思ってきたふたりはそんな間抜けな遣り取りをして黙り込んだが、一瞬後には豪快に笑い合う。
 酒かどうかはこの際どうでも良い。気持ち良いくらいの酔い加減で互いに上機嫌である。そんなふたりを遠くから見つめて笑い合う者たちがいた。アンヌの酒場で働く面々であ
る。日頃の意趣返しだ。実は二本目以降の酒は全部ただのジュースである。
 シバはふと通りかかったルースを掴まえた。
「お主も一杯どうだ?」
 と有無も言わさないまま彼女のジョッキにボトルを傾けた。「ありがとうよ」と言ってジ
ョッキに口を付けたルースは微妙な表情を浮かべた。そうしてシバとボルスの顔を交互
に見比べる。ボルスはぐっと詰まったがシバはお構い無しに首を傾げた。生暖かい視線がふたりを刺す。ボルスはたじろぎそうになるのを必死に堪えた。何かを思いついたのかルースは途端に可笑しそうに顔を綻ばせた。
 ルースはころころと笑い転げながら「ごちそうさん」とジョッキを上げて立ち去って行く。目指す方向はアンヌのところだ。
 ボルスはぼんやりとルースの背を追いかけていた。
 みんな生き残るために必死なんだ。あたしは生きるために笑っていようと思う。あんたも、暗い顔せず笑っていな。辛い思いをしたのはあたしらだけじゃない。あんたたちだって辛い思いをしたんだ。そういう時こそ笑いない。その方が人生は何倍も得をする。もちろん誰かを恨まないと生きていけない連中も居る。そういう連中の恨みを背負って、でも笑っていなさい。
 いつだか彼女がボルスを捕まえて言った言葉だ。彼女の言わんとすることは妙にすとんと腑に落ちて、少しだけ心が軽くなり肩が重くなった。ルースは自分なんかにも母のような慈愛をくれるのだ。目が覚めた気がした。
 ふと気付くとシバが訝しそうに眉を顰めてジョッキの中身の匂いを嗅いでいる。首をかしげたボルスにシバは間の抜けた声で言った。
「……やはりこれはジュースなのではないか」
 がっくり来たふたりは酒を求めて別れた。



「おや、ボルス酔ってない?」
 ボルスを掴まえてそう言うとクリスは可笑しそうに笑った。
 クリスと一緒に居たのはパーシヴァルで、抜け駆けしやがって!といつもなら突っ掛かるところを一杯寄越せと酒をせがんだ。
「なんだ、明日は雨だな。お前が人の忠告守るなんて」
 そう茶化しながらパーシヴァルは近場にあったボトルを持ち上げてボルスのジョッキに注いでやった。
 恨めしそうな視線でボルスが言う。
「酒だと思ってたらジュースだったんだ」
 その言を聞いてクリスとパーシヴァルは顔を見合わせた。悪酔いしてないだけでやっぱり一応は酔ってはいたんだな。
 向こうからレオとシバが肩を組み合ってやって来る。
「あちらはすっかり出来上がってるわね」
 クリスが苦笑いを浮かべた。が、とても楽しそうである。その様子を見つめていたボルスの頬が自然と緩み、パーシヴァルは笑いを隠すためにこっそり背を向けた。
 大量に酒を抱えてやってくるシバとレオはにやけてぼけっとしているボルスをとっ捕まえ、その隙にパーシヴァルはクリスの手を取ってダンスの輪へ溶け込んでいった。
 むさい男二人に囲まれながらボルスが「あっ!!!」と声を上げた時には既に遅かった。
「結局抜け駆けされた……」
 不貞腐れるボルスの持つジョッキににやにやとからかう笑みふたつと共に並々と酒が注ぎ込まれる。ボルスは一言「畜生」と呟いて勢い良くそれを流し込んだ。
「……全く単純な男だ」
 面白そうに呟かれたシバの一言を聞き留めたレオが堪えきれずに笑い出し更にボルスのジョッキに酒を注ぐ。ボルスは注がれるままに飲み干していったが、やっぱりいつもほど酔ってはいないようだった。



結構飲んだはずなのに、翌朝のボルスははつらつそのものだ。同室のパーシヴァルは二日酔いを懸念していたのだが拍子抜けを通り越して驚いた。
すっかり片付いた部屋を出る手前、ボルスはパーシヴァルに宣言した。
「俺は生まれ変わった!!!」
 言いたいことは何となくわかるけれど、もっと他に良いようがあるだろうに。まるで幼稚な宣言にパーシヴァルは唖然とした。











☆☆☆☆☆☆☆

読んでくださってありがとうございます。
あれれ?改行が上手くいっていない気がする。読みづらかったら申し訳ありません。
単純なのがボルスの良い所。熱くなるのも落ち込むのも、半端なく極端な感じが良い。
でもプライド高いからリザードの使者にあんな態度とっちゃったり。
おちゃめな子やなぁ。
相変わらずカメ並み更新ですがよろしければ今後もお付き合いください。
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