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◆幻想水滸伝(パーシヴァル中心に全シリーズ)をメインとした趣味の二次創作・固定ヒロイン夢小説を扱ったブログです◆各版権元製作企業・関連会社とは一切関係ございませんが著作権は筆者さやなにあります◆
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さやな

Author:さやな
寒いと生きていけないと言いつつ
我が家は恐ろしく寒い
ということは実は寒さに強いのかもしれません

モノ書きするくせに筆不精な自分が歯がゆい今日この頃

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幻想水滸伝3 【 暁に向けて――クリス・ルシア・アップルver. 】

祭りの輪を抜けて語り合う三人。
ルシアの言葉に翻弄されるクリスと風に想いを馳せるアップル。
 





 【 暁に向けて――クリス・ルシア・アップルver. 】





















 どうせ日が昇ればいつもの通り、全て元通りになるのだ。
 ならば今宵くらい――。

 祭りの夜は眠る事を知らぬ。夜を通して全てを忘れて踊り唄え!

 そうして迎えた朝は酷く閑散としていて現実を取り戻す。
 賑やかな行事はあまり特意ではない。
 羽目を外すとか、どうにも苦手だから。
 翌朝、日常を取り戻すとやたらとほっとする。
 あぁ、でも。今日は少し違った。
 ここで過ごす最後の日に相応しい自分で居たいのに。



「おや、浮かない顔だね」
 古城で顔馴染みとなった面々と一頻り話し終えるとクリスは一息吐こうと人のあまり居ない方へ移動して一層賑やかになって行く祭りを眺めていた。
 ふと声を掛けられて伸びた影から視線を上げて行くと、相手は皮肉めいた笑みを浮かべたカラヤの族長だった。
「ルシア殿」
 そう呼びかけてからクリスははっとして口元を押さえた。
 ルシアとプライベートな会話をすると無意識のうちに自分の弱い部分を曝け出しそうになる。
 ルシアはからから笑いながらクリスの隣に背を持たれた。
「この間言っただろう?」
「あれは……」
「ま、男に限らずだ。こういう時、お前のような人間は損してばかりだ」
「損、しているのだろうか」
「してるだろう。そんな憂い顔はこの場には似合わない。だからこんな隅っこで独りで居る。混ざって笑えば良い。それだけだよ、簡単なことだろう」
「簡単なことって……随分簡単に言う」
「烈火の坊やでも見習いな。単純というのはとても素晴らしいことだよ」
 ルシアは両手に持っていた二つのジョッキを片方クリスへ差し出した。クリスは黙ってそれを受け取る。
「まぁ、あたしにも覚えのあることだ。ちょうどあんたと同じくらいの年の頃だ。頑なだったよ、今のあんた以上にね。色んなことを知って少しずつ変わって行くものさ。急く必要はない。ただ、きっかけというやつは大事だ。それは探せばそこらへんにいくらだって転がっている。飛び込むかどうかは自分次第だが、指咥えて傍観して終わるなんてのは馬鹿げていると思わないか?」
 そう言ってルシアは目の前を指差した。
「我らがいがみ合うのも、たまたまこうやって手を取り合ったのも。元は些細なきっかけに過ぎない」
「大儀を理由に盲目になるのはてんで馬鹿げている、か」
「誰かに言われたのか」
「ああ、あの風使いのことをそう評した奴が居る」
 なるほど、と呟いてルシアは面白そうに口元を緩めた。大方、言ったのは疾風の騎士あたりだろう。
「もう一度、言ってやろう。子供が欲しけりゃ隙を見せることだな。もしくは、既に隙を与えている相手が居ることに気付くこと、か」
「そういうのはホント苦手なんだ。意味深なことを言わないでください」
 楽しそうなルシアを余所にクリスは思いっきり苦虫を潰した。
「別に意味深なことを言っているわけではないさ。難しく考えるから難しくなる、それだけだ」
「そういうことって、今まで一度も考えたことなかったな」
「うちの天然息子じゃあるまいし」
「いや、本当にそんな余裕なかったのだ」
 そして、我武者羅だった分、自分には欠けているものが多いのだとクリスは言った。
「憧れとかそんなものくらいならあるだろう」
「憧れ、か。それならあるが、恋愛感情というのとは随分違う気がするな」
「それはあの中に居るのかい」
「父や兄のような、そんな感じだ」
「なるほど」
「だから敷居が高いんだよ、わたしには」
「高いと思っているから高くなるんだよ」
 堂々巡りの会話にクリスは恨めしそうにルシアを睨んだ。ルシアは相変わらず上機嫌そうに笑っている。
 と、くすくすと笑いを立てながら第三者が遣って来た。
「そうしているとまるで姉妹ね」
 楽しそうに笑いながら現れたのはアップルだ。
「ちょうど良いところに来たな。どうだ、お前も為になる教訓が山ほどあるんだろう?」
 と、アップルは顔を顰めた。
「……地獄耳ね」
 そうしてクリスに向かって肩を竦めた。三十過ぎると色々あるもんよ、と軽口叩く。
 ルシアが皮肉るように言った。
「三十過ぎても色々無いとか逆に凹むぞ?」
「ま、そういう言い方もありだわね」
 アップルは簡単にルシアに同意を示した。年増ふたりに囲まれては逃げ遂せる技量などクリスにあるわけがない。クリスは肩身を狭くした。まいったな、これは。
「なるようになるでは駄目なのか……」
 と自棄に呟くと間髪居れずに双方から呆れた視線が寄越された。
 居心地悪いことこの上ないが、悪い気はしない。姉が居たらこんな感じなのだろうか。ルシアの言う通り、誰かに気を許す自分というもの思っていたより悪くないかもしれない。  
 手の届かないところに手が届くというのは存外くすぐったいものなのだなとクリスは思った。
 いつしか自然と表情は綻んでいて、ぽんと背中を押されたままにクリスは祭りの輪へ飛び込んでいった。
 賑やかな音楽に身を委ねていると本当に些細な事に思えてくるから不思議だ。
 パーシヴァルに誘われてダンスの輪に入る。手を取り合って踊っていると彼は不意にとても幸せそうに目を細めた。彼がまっすぐ見つめているのはクリスの目で、クリスの胸が妙な高揚感に跳ねた。
 難しいと思うから難しい。本当はとても単純で簡単なこと。当たり前過ぎることに人はなかなか気付けない。当たり前なことこそ、本当は何よりも大切なことだったりするなんて。
 明日が無かったら。昨日が無かったら――。きっと自分は何も気づけないまま、頑なに生きて行くのだろう。今日というこの日を胸に焼き付けて、きっとこれからはもう少し柔軟に生きていける気がした。
 これは希望である。わたしの、ここに居る全員の――。この希望を現実にするために、明日からの自分はまい進する。それは 今までと全く違う道のりになるだろう。
 ふとルシアの言葉が頭を過ぎる。目の前にあるのはパーシヴァルの優しい眼差しで。慌てたクリスはバランスを崩した。
 抱きとめたパーシヴァルの「そそっかしいんですから」という呆れ声は随分耳元で聞こえて困った。困りに困った。ルシア殿め、とんでもない爆弾を投下してくれたものだ。
「す、少し疲れた、な……」
 しどろもどろにそう告げてダンスの輪を抜ける。
 人だかりを抜けた先でクリスは蹲って頭を抱えた。パーシヴァルの呆れた視線が刺さるが気にしている余裕などまったくない。



 遠目にクリスの無様を見つめていたルシアが頭を掻いた。
「少し、からかい過ぎたか」
 隣でアップルが余裕のある笑みを漏らす。
「良いんじゃないかしら。ああいう澄ました男の子が素丸出しで困ってるのって面白いじゃない」
「確かに。あれはあれで気分が良いな」
「でしょう?」
 とても温かい目でクリスを見守るルシアの視線に気付いてアップルは前から気になっていたことを口にした。
「あなたが彼女を気にかけるのは、昔のご自分に似ているからかしら」
 それもあるが、と苦笑いを浮かべてルシアは言った。
「自分自身というよりは、ヒューゴと似ている気がしないか?」
 あの潔癖さは彼らの美点だろう。でも、危うくて見てるこちらは堪ったもんじゃない。なんだかつい、二人まとめて親の目で見守ってしまう。歳をくったな、あたしも。ああ、ジンバがな、昔良く言っていたよ。うちの娘とヒューゴは似ていると。危なっかしいところなんてそっくりだって頬を緩めていたな。あの娘が気に掛かるのはそういう思い入れもあるんだろうな。成長したよ、ふたりとも。これで少しはあたしも安心できる。
 そう言ったルシアの隣でアップルは静かに微笑んだ。
 アップルに実子は居ないが、自分の子供だと言ってもおかしくないような年齢の少年と彼女は旅をしている。母性なんてものが自分の中に存在するなんて考えたことも無かったけれど、なんとなく理解できるような気がした。
 いつだかルースが太陽のような笑顔で言っていた。みんな自分の子供のように愛おしいと。
 こんな自分でも何だかんだで成長しているのかもしれない。そう思うと何だか気恥ずかしくてアップルは空を仰いだ。
 あたしにも、頑なな頃があったな……とぼんやりと随分昔の大切な思い出を思い浮かべた。
 ふわりと風が吹いた。ルシアは微笑ましそうに口元を緩めて先の方を見つめたままだ。アップルは、自分の掛け替えの無い昔と居なくなってしまった少年のことを思った。やっぱり母性など自分には存在しないかもしれない。説得という言葉は終始自分の中に存在しなかったのだ。師や兄弟師だったらどうしただろう?自分が正しいことをしたのかどうか、さっぱり彼女にはわからなかった。
「あたしも、子供を持ったらわらるのかしらねぇ……」














*******

読んでくださってありがとうございました。
この三人の絡みが祝賀会で一番書きたかった場面でした。
ルースはみんなのお母さん。
ルシアはみんなのお姐さんwww

これからもどうぞ宜しくお付き合いくださいまし。
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